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火葬待ち長期化の社会問題5つと、対応するご遺体の保存技術革新レポ

エンディング産業展

 今年も東京ビッグサイトで、エンディング産業展が開かれたので行ってきました。

 今回はほーりーが顧問を勤めるアンカレッジは出展しませんでしたが、エンディング産業展に初回から皆勤賞のほーりーとしては興味津々です。

 周りに聞くと規模が年々縮小している、内容もマンネリ化との声は絶えません。まあ、そうした部分があるのは否定しませんが、ほーりーにとっては気付きの多いイベントでした。

火葬待ちは長期化している

 特に今回、ほーりーが注目したのは、亡くなった方のご遺体を保存する技術です。

 私事ですが、先日父を亡くしました。そして火葬場の予約に8日かかりました。火葬場が不足している話はあちこちで聞いていましたが、我が事として体験すると混雑ぶりを実感します。

 そして同時にネットニュースでも、この話題にふれた記事が目につくようになりました。

 火葬待ちで2週間…深刻化する火葬場不足の実態

 「火葬待ちで10日間」もザラ… “火葬場不足”問題の切り札「2か月長期保存」も可能な「遺体安置冷蔵庫」大人気の裏側

 遺体に寄り添いドライアイスで中毒、5年間に死亡事故4件…「換気の行き届いた場所で対面を」

 これらはこの半月ほどで読んだ記事ですが、最近特に多く見ている気がします。単にカラーバス効果(特定のことに意識が向くと、日常の中でその情報が目につくようになる現象)かもしれませんが。

 火葬待ちが長期化する原因は、死者数の増加と施設・労働者の不足によるものです。こういう言葉を使うのは適切ではないかもしれませんが、需要が増えても供給は増やせずにいます。

 お寺の漫画図書館をプロデュースしたほーりーは、お寺周辺の産業について描かれた漫画も読みまくっています。こちらとか、火葬場で働く方の大変さがよく伝わってきます。

 最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常

 下駄華緒・蓮古田二郎 著

 Amazon 楽天ブックス で購入

 これから死者数増加と労働者の減少がダブルで訪れる日本では、火葬待ちがさらに長くなっていくのは間違いないでしょう。

火葬待ちが長期化することで起こる問題

 火葬待ちの長期化によって起こる問題は、以下のものが挙げられます。

 (1)日数が伸びることで、ご遺体が傷みやすくなる
 (2)保管のための費用が上がる
 (3)ドライアイス(二酸化炭素)を吸い込むことで、健康被害が出る
 (4)ドライアイスを大量に使用すると、環境負荷が高くなる
 (5)従来の伝統が崩れて、不快に思う方もいる(友引に火葬するなど)

 この中で(5)以外は、ご遺体を保存する技術の進展によって解決が図れます。そんなわけで、今回のテーマ。ご遺体の保存技術です。今年はこんな出展がありました。

ご遺体の安置ボックス

 棺桶をそのまま入れ、コンセントに繋ぐだけで、1週間~10日程度は保存できるとのこと。特に注目したいのは、家庭用コンセントでも動かすことができる点です。

 冒頭で私の父が亡くなった話を書きましたが、もともと家族で一度は家に連れて帰りたいという話をしていました。

 しかし8月に亡くなり、この暑さで家に安置するのはさすがに無理と判断。そして葬儀会社にお願いしたのですが、父はどこにいるのですかと聞いても、それは答えられないとのこと。

 遺族が来てしまうことを防ぐためか、周辺に住む方の心情に配慮してか、教えて頂くことはできませんでした(まあ、仕方ないこととは思いますが)。

 もしもこうした商品があれば、父も一度家に帰ることができたのかなどと、説明聞きながらちょっとしんみりしてしまいます。なお余談ですがせめてものとして、お葬式を行ったお寺から火葬場までの移動中、霊柩車に実家の前を通って頂きました。

 他にはドライアイスを使わないことで、二酸化炭素やコスト削減に寄与できる保冷剤も紹介されていました。

ご遺体の保冷剤

 また、亡くなった後にご遺体がどのように変わっていくかを図示している会社もありました。

ご遺体の変化図

 ついでにこちらは去年展示されていたものですが、CO2排出削減を大きく打ち出していた企業もあります。

ご遺体保存と脱二酸化炭素

 日本の社会課題から世界中で取り組まれている環境問題にもアプローチできる、ご遺体の保存技術革新。世の中的には目を引かない地味なテーマですが、その大切さは軽んじることができません。

ということで、、、

 せっかくなので、エンディング産業展を回って得た他の感想を述べると、以下2点が目につきました。

 ○ペットブームが一段落した(消えたわけではないけど)
 ○VR葬儀やクラウド墓など、デジタル系も勢いが落ちた

 総じてコロナによって盛り上がった分野が、平常に戻る中で落ち着いてきたように思います。よく言えばこの分野もこなれてきたということでしょうか。

 一方でエンディング産業展の運営主体が変わったこともありますが、海外からの来場者が増えました。これもまたコロナ鎖国の終了と、大きく関係があるでしょう。

 半日ほど会場を回っていたら知り合いにたくさんお会いしましたし、その知り合いの方もご紹介頂きました(私の知り合いも、あれこれご紹介しました)。お坊さんのセミナー会場に行ったらここでも多くの方と挨拶できたり、最後は石材業界の懇親パーティに連れて行ってもらって急遽お邪魔したり。

石材業界の懇親会

 そんなわけで技術関連の気づきと共に、今回もまた多くの出会いに恵まれた一日になりました。

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ご遺体の安置ボックス

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