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エンディング産業展で示されていた、変化を表す3つのキーワード

 今年もエンディング産業展に出かけてきたほーりーです。葬儀やお墓、終活関連をテーマに毎年様々な企業の展示が行われているので楽しみにしているのですが、今回は会場が有明GYM-EX(ジメックス)になっていました。

有明GYM-EX(ジメックス)

 そんなわけで危うくいつもの東京ビッグサイトに行ってしまうところでしたが(なんか数年前にも同じことした気がする)、直前に気がついて無事に会場にたどり着きました。

 そして今回、ほーりーが興味を持ったのはエンディング業界の現状と未来を示したパネル展示です。その中で葬送文化の変化を示すキーワードとして、「SDGs」「DX」「MINIMALISM」の3つが紹介されていました。

葬送文化の変化を示すキーワード

 この動画自体は世界中のできごとをまとめた事例集のような内容でしたが、今回のエンディング産業展では出展されていない(日本では行われていなかったり認可されていない)ものも多かったので置いといて。

 それぞれのキーワードはエンディング産業展の主催者がまとめただけに示唆的なものでもあったので、今回はこの3つの視点からレポートしてみます。

エンディング産業展で示されていた、変化を表す3つのキーワード

MINIMALISM(ミニマリズム)

 上記と順番は異なりますが、まずは「MINIMALISM(ミニマリズム)」から。動画では人口増加による埋葬用の土地不足が挙げられ、専有面積の小さなお墓や既存の土地を使用しない墓地が紹介されていました。

 ただこれとは別にミニマリズムという観点で流れが来ているとほーりーが感じたのは、お寺の本堂で行われる葬儀です。

お寺葬

 このブログを読まれている方なら多くの方がご存じの通り、お葬式は規模がどんどん縮小しています。一方でこれから日本は2040年頃までかけて、死亡者数が増加する多死社会に入ります。つまり言葉を選ばずに言うと、少人数のお葬式が増えていくということでもあります。

 そして参列者が減っていくと、大規模な葬儀会館はオーバースペックになります。するとお寺の本堂にも利が出てくるのではないでしょうか。

 もちろんお寺のロケーションや本堂の大きさによって条件は変わってきますが、街中に小さな葬儀場を増やしていかなくてもすでにある本堂を活用すれば、お金もかからないし仏様が間近にもいらっしゃるしで、よっぽど心のこもった葬儀になると思います。

 実際に会場で知り合いのお坊さんにお会いしたら、複数人がお寺での葬儀に熱意を持っていました。短時間だったので深く議論できたわけではありませんが、お葬式の小規模化が本堂での葬儀を後押ししていく流れはあると思います。

 ついでにエンディング産業展で、いつもお世話になっている大法寺の長谷雄住職も「寺葬」について講演されていました。そんなわけでということもありませんが、10/3はこの長谷雄住職をお招きして、東京で勉強会を行う予定です。

 もしご興味ありましたら、ぜひご参加いかがでしょうか?

 大法寺の長谷雄蓮華住職と、お寺の事業勉強会を開催します

SDGs(持続可能な開発目標)

 SDGsはここ数年、世界中で明らかに機運が低下しました。これには様々な要因がありますが、ロシアによるウクライナへの侵攻とトランプ氏のアメリカ大統領復帰は大きなトピックスです。

 SDGsの大きな旗振り役はヨーロッパ各国です。しかしこれらの国々は、ロシアからの天然ガスや食料輸入が制限され、生活コストが高騰しました。これによって人々の不満が増大し、負担感があおられる形でSDGsに積極的な政党が苦戦しています。

 またトランプ大統領は国連総会で「米国はSDGsを拒否する」と明言。温室効果ガス削減を目指したパリ協定を脱退し、LGBTQ+(性的少数者)の関連施策も終了させました。

 こうした流れに同調するように、エンディング産業展でもSDGsという言葉は目立たなくなってきています。以前はあちこちのブースで掲げられていましたが、今回はほーりーが見た限りでは1カ所しかありませんでした。

 ただ今年の夏も異常な暑さが続きましたが、地球高温化はやはり考えていかなければならない問題です。そこでほーりー的に可能性を感じる分野は、ご遺体を安置する時のドライアイス削減です。

ご遺体安置ボックス

 ほーりーの父が亡くなった時も火葬場の予約に8日かかりましたが、多死社会が進んでいくと、さらに待機日数は増えるかもしれません。そしてご遺体を冷却するドライアイスは、言わずと知れた二酸化炭素です。

火葬待ち長期化の社会問題5つと、対応するご遺体の保存技術革新レポ

 詳細は上のリンク先に書いていますが、ドライアイス使用量を減らすことは地球にも優しいですし、コスト削減にもつながります。また上に載せた写真のボックスは家庭用コンセントでも使えるため、ご遺体を家で安置することもできます。

 夏場に亡くなり、病院から父を家に連れ帰ることを泣く泣く諦めたほーりー家としては、もっと世間に広まっていてくれたらと思わずにはいられない製品です。

DX(デジタルトランスフォーメーション)

 第一回からエンディング産業展は皆勤賞のほーりーですが、継続して見ていると世の中の技術トレンドも移り変わりがよく分かります。

 これまで目にしたバズワード的なものを並べると、クラウド、VR、メタバース、テレワーク、AIなどがあります。あ、ロボット僧侶とかもいました。これらは瞬間風速的に多数登場し、数年経つとめっきり見なくなったりしていますが、今年に入って存在感が増したのは生成AIです。

 ほーりーも幾つかのブースに立ち寄って、AIで目が閉じている写真の表情を変えたり、服装を和装にしてもらったりしました。これらはあまり写真が残っていない方の遺影を作るのに役立ちそうです。

AI遺影

 ただ今後、賛否含めて議論になっていきそうなのは、AIによる故人の復活でしょうか。写真と声を録音した音声を使用して、亡くなった方と会話できるサービスは中国や韓国で生まれていますが、日本にも少しずつ浸透してくるかもしれません。

 実際にエンディング産業展では韓国の企業が、このようなサービスを紹介していました。

ということで、、、

 今回はエンディング産業展が打ち出していた3つのキーワードに沿って、会場で見つけたものを紹介してみました。あくまでほーりー視点なので、主催者の提示と結論が異なるものもありますが、葬儀や供養について考えるのによいヒントだったと思います。

 ただ他にも気になったブースや興味を引かれた製品もあれこれあったのですが、そちらにもふれると3つのキーワードから外れて収拾が付かなくなるため、それらはまた別の形でまとめられたらと思います。

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