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安易な模倣が失敗を招く。人生教訓を含んだ地域再生の罠を解く本

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 地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか? (ちくま新書)

 久繁 哲之介 著

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成功モデルともてはやされながら、
実は成功とは言い難い地域再生事例が世間には溢れている。

そしてそれを安易に模倣することにより、
現実味のない地域再生プランが蔓延する。
要約するとこれが著者の語る地域再生の罠です。

この本は私が宿坊と地域活性についての講演を依頼された時、
直接お寺と絡む話ではありませんが
様々な地域の事例について学びたいと思い、読んだ本でした。

特に失敗した地域再生担当者に共通する思考パターンは、
人生の姿勢を考える上でもとても参考になります。

そもそもなぜ、成功でもない地域再生が、成功事例として紹介されるのか?
それは自作のモデルを『成功』として扱われないと困る提供者側の視線から、
成功事例集が作られているから
です。

つまりどんなに効果の薄い施策であろうと、
成功事例として売り込みたい立場の人間によって、
地域再生プランは語られています。

都会をまねて箱物商業施設を乱造し、
オープン時の賑わいが去れば撤退を繰り返す中小都市。
月に一度のイベント時以外は閑古鳥が鳴く商店街。

市民目線から見れば寂れたままにしか思えない街も、
提供者側はその賑わう時だけ取り上げて活性したとアピールします。

そして模倣する側は提供される情報に対して受動的で、
自分で事前に確認することも、
また試した結果を検証することもありません。

本書ではそのことを繰り返し警告されています。

地域再生の目的は、決して新しい建物を作ることではありません。
しかし土建業者によって、とりあえず建物を作ることが賞賛されています。

そしてその先、作った建物がどんなに活用されなかろうと、
それは建てた人間には知ったことではありません。
つけは住人だけが払わされているのです。

これは地域再生というテーマで切り取った社会考察ではありますが、
安易に結果や正解を求める限り、どんな場所でも共通して言えるかもしれません。

目的とする結果より、目の前にある道が楽そうだから選んでしまう。
私も歩きやすそうな道に目が行きがちですので、教訓としておきたい本でした。





 地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか? (ちくま新書)

 久繁 哲之介 著

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地域再生の罠

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