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札幌でお坊さんにお伝えした、気に入らないものをほめる力

真言宗北海道教師会でのほーりー講演

 先日、札幌にある誓願寺さんで行われた真言宗北海道教師会の研修会で、講演させて頂きました。

 タイトルは『お寺を盛り上げる7つのアクション』です。こちらはお寺のコミュニティ作りを7つのステップにまとめたもので、これまで1000人以上のお坊さんにお伝えしたほーりーの定番講演です。

 ただ今回は札幌だけでなく、様々な地域のお坊さんが参加されていました。お聞きしただけでも、小樽、ニセコ、登別、十勝、稚内の方がいましたし。東京~大阪くらいの範囲から集まったと考えると、北海道のでかさが分かりますね。

 そしてこの広大な地域において、大半(≒札幌以外)での課題は人口減少です。もっと言えば人口減少から高齢者減少へと、これからステージ変化していきます。

 この詳細&人口推移のグラフは、去年に登別市で行った講演のレポートにまとめたので、ご参照ください。

 人口減少から高齢者減少へとシフトする登別市でお坊さんに伝えたこと

 読むのが面倒な方向けに3行でまとめると、以下の通りです。

○登別市では2024年を境に、65歳以上の人口が減少し始める
○檀家さんの大半が高齢者のお寺にとって、これまでになく大きな影響が予想される
○お寺を次世代につなげるためには、新しい稼ぎ方も考える必要がある

 そしてこの提言に評価を頂いたようで、今回の札幌講演は登別市でお会いした方からお声がけ頂きました。さらに今回は事前打ち合わせを行った上で、今までよりもお金に焦点を当てたものに変更しています。

収入を石垣型にすることで、お寺の布教&経営は土台が強固になる

お寺の収入は画一的

 そもそもほーりーにとって、お金の話はプレッシャーがかかるものです。というか、ちょいちょいトラウマも引きずっています。

 一番強烈だったのは講演の依頼を受けて一生懸命準備していたのに、開催まで1週間を切ったところで「お寺のビジネスを語るなんてけしからん」とお偉方がちゃぶ台返して、いきなりキャンセルになったことでした。

 飛行機のチケットも予約していたので、交通費だけ頂いて旅行してきちゃいましたが。

 また他にも「宿坊なんて行うくらいなら、お寺は潰れたほうがいい」と言われたり、「身延山(日蓮宗総本山)に檀家さん以外を呼び込むなんてとんでもない」と、あちこちで問題視されたこともあったようです。

 ただこうした意見にさらされ続けて感じたことは、お金って本当に人の感情を刺激するなということです。そして一般の会社よりも宗教は、営利が目的でないだけにそれが強く現れるのでしょう。その状況をお伝えしたのが、以下のスライドです。

儲けアレルギー

 お寺がビジネスに走るとありがたみがなくなるという意見には、ほーりーも同意します。ただそうした声を怖れすぎた結果、お寺社会は新しい収入を作ることに抵抗を覚えるようになりました。

 実際にいくつかの宗派からアンケートや調査データを見せて頂いたところ、お寺社会はだいたい8割くらいが檀家さんからのお布施で成り立っていました。これはほーりーの視点で見ればあまりにも偏りが大きいですし、この一本足に人口減少が直撃した結果が現在の苦境と言えるかもしれません。

 そこで私が提案しているのは、「石垣型の寺院経営」です。

 檀家数減少時代に収入を支える、石垣型のお寺設計

 こちらはこのブログでも何度か紹介していますが、お城の石垣のように大小様々なパーツを組み合わせながら、布教と収入の土台を作っていこうというものです。

 ほーりーはお寺にお金だけ稼いでほしいと考えているわけではないので、収益を生むことが仏教を伝えることにもつながる、いわば布教と経営を両輪で支える手段として紹介しています。

気に入らないものをほめることで、チャレンジ精神は高まっていく

 ただこれについてもすんなり共感して頂ける方がいる一方で、ふざけんな! と、批判される方もいます。そして私自身への批判なら良いですが(良くないけど)、こうした声が大きいと周りのチャレンジもつぶしかねません。

 それは結局、自分自身の首も絞める行為ですし、新しいお寺の形が周りにどんどん生まれていかないと、お寺社会全体がじり貧になっていきます。

 そこで今回はもう一つ、こんなアクションもお伝えしてみました。

気に入らないものをほめる

 またこのブログでも、以前にこんなことを書いています。

 洞察力のない人は、他人の失敗を予言する

 新しいものに拒否反応が出やすい方は、気に入らないと感じたものをほめる訓練をすると良いと私は考えています。これはお坊さんが挑戦しているニュースを見た時でもよいですし、身の回りで全く興味のない流行り事にふれた時でも構いません。

 もちろん犯罪行為までほめろというわけではありませんし、どうしてもほめられない時は目をつぶってスルーするのもよいでしょう。

 それでも最初は全く心がこもっていなくても大丈夫なので、何かを見つけたらとにかくほめる。身近な人にそれを伝える。これを繰り返していれば、情報感度も自分自身のチャレンジ精神も高まっていきます。さらにあのお坊さんは新しいものごとに理解があると、周りから勝手に情報や企画も飛び込んできます。

と、いうことで、、、

真言宗北海道教師会でのほーりー講演

 気に入らないものをほめる。偉そうに言っても、ほーりーも100%できているわけではありません。ただ私自身を見返してみても、拒否反応が出たものの中には、自分には考えることもできなかったことや、ずっと先を行っていると感じたものが多くあります。

 なので反発をぐっと飲み込んで、自分との差を痛感して素直にほめることを意識してからは、自分の成長にもつながるようになりました。

 また念のため書き添えると、ほーりーが批判することの大半は、挑戦している人を叩く現場を見た時です。これについては逆に反対意見を述べていかないと危険と考えています(詳細は以下のブログ記事をどうぞ)。

 なぜ分断を煽るのかと聞かれたほーりーが考えたこと

 なので何でもかんでもほめなさいということではないわけですが、行動している人は内容に関わらずほめるという方向です。『お寺を盛り上げる7つのアクション』の最終アクションも、「前例のないことに挑戦する」ことを勧めていますし。

 なお、講演の中では具体的に新しい形で収入を得ているお寺の事例も、あれこれ紹介させて頂きました。これについてもご興味ある方いそうなら、改めて別記事にてまとめます。

 そんなわけで、北の大地からお寺の新たな潮流が生まれることを願いつつ。参加されたお坊さん方の挑戦が聞けることを、楽しみにしています。

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