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人口減少から高齢者減少へとシフトする登別市でお坊さんに伝えたこと

 先日、北海道登別市に出かけてきました。こちらでは登別市佛教会さんから、今後のお寺について考えるための講演を行ってほしいと、お招きいただきました。

ほーりーの登別講演

 そんなわけでご要望を伺いながら、講演タイトルは『お寺を盛り上げる7つのアクション』に決定。こちらはこれまで1000人くらいのお坊さんにお話をした、お寺のコミュニティ作りをステップごとにまとめたものです。

 その内容はこのブログに何度も書いていますし、電子書籍版も制作していますのでちょっと割愛します。

 今回はこの講演に合わせて登別市について調べていたら、全国のお寺でも共通して起こりそうな問題が見えてきたので、まとめることにしました。

登別市はこれから高齢者数の減少が始まる

 まずは日本全体と登別市の人口推移について。オレンジが日本でブルーが登別市です。なお、両者の傾向を比較することが目的なので、日本の人口は1/2000でプロットしています。

 そしてグラフを見ると日本は2008年に人口がピークを迎えていますが、登別市では25年も先んじて1983年から減り続けています。まあ、この辺は細かな数字を別とすれば各地共通で起きていますし、人口減少は多くの方が認識されているでしょう。

日本と登別市の人口推移

 しかし今回、ほーりーが自分で作ってびっくりしたのが次のグラフです。日本と登別市の65歳以上だけを抜き出すと、以下のようになりました。

日本と登別市の人口推移(65歳以上)

 これを見ると日本全体と登別市は、ほとんど同じように高齢者が増えていることが分かります。しかし右側へ向かうと先端が分かれて登別市だけが減少を始めます。

 これを近年だけ抜き出し、拡大したのが次のグラフです。

日本と登別市の人口推移(65歳以上)拡大版

 日本の65歳以上ピークは2043年と予測されています。一方で登別市は2020~2024年がピークです。5年ごとの数字しか発表されていないので少しアバウトですが、登別市では約20年も早く高齢者減少時代に突入するわけです。

なぜ、地方では高齢者数減少が始まるのか

 登別市ではなぜ高齢者がこれまで増えていたのか、そしてここにきてなぜ減少を始めるのか。要因はいくつかありますが、生活スタイルの変化が若者にのみ起こってきたことと関係あるでしょう。

 これは以前に書いた記事ですが、60代以降と50代以下ではライフスタイルに大きな変化が生じています。実際にこの年代を境に、引っ越し回数に大きな差が出ています。

 これからお墓を引き継ぐ50代の墓住分離は加速していく

 ここで述べたことは、以下の3点です。

 ○50代以下の3割は、生まれ育った県を離れて暮らしている
 ○地方出身者は親と離れて暮らす方が多い
 ○大都市圏では親の近くに住む人も多いが、そもそも親が先祖代々のお墓と離れている

 つまり登別市のグラフに照らし合わせると、以下の流れが推測できます。
 
 (1)これまでの高齢者は生まれた地域で暮らした方が多いので、都心部と地方に差は出なかった
 (2)これからは生まれ育った地域を離れた世代の人達も、高齢者層に入ってくる
 (3)結果として日本全体の高齢者はまだ増えているけど、地方では減少がスタートした

 そんなわけで登別市の高齢者減少は、これから始まります。

人口減少と高齢者減少は、お寺への影響が全く異なる

 上で紹介したグラフはそれぞれ、総務省や国立社会保障・人口問題研究所が発表している数値をExcelに打ち込んで、グラフ作成ボタンを押したものです。夜中に一人で作業していたのですが、画面にグラフが表示された瞬間に思わず「ほーーーっ」とため息が出てしまいました。

 ほーりーも顧問を務める霊園会社・アンカレッジの活動では、2040年頃まで日本は多死社会が続き、そこから葬儀やお墓需要が減少しますという話をしてきました。そして地方ではもうちょっと早くピークが来ますと付け足していましたが、思っていたより早そうだぞと今回のグラフで認識を新たにしました。

 こんな言い方は適切でないかもしれませんが、多くのお寺は人の死を起点に経済が成り立っています。そして亡くなる方が多いのは、言うまでもなく高齢者です。

 つまりこれまで人口減少で厳しいと言いながら、お寺が意外と成り立っていたのは高齢者数が増えていたからです。しかしこの層が減り始めると、お寺はこれまでと異なるレベルで苦境に立たされます。

 この変化が起こるのは2043年と言われていたわけですが、市町村単位で細かく区切ると待ったなしの地域もたくさんありそうです。登別市は過疎地に指定されている地域でもないので、場所によってはそんなのすでに起こっているよと言う方もいるでしょう(ちなみに日本全国の各市町村ごとに数値が公開されているので、うちの地域はと気になった方は調べてみるのもおススメです)。
 
 なお、平均寿命(男性81.05年、女性87.09年)を考慮に入れ、80歳以上でも調べてみました。登別市でこの年齢層が減少するのは2035年です。つまりこれからの10年がお寺にとって最後の試練(このまま現状維持を続けると、それ以降は試練すら訪れない)となるのかもしれません。

そんなわけで、、、

 お坊さん方にはシビアですが、講演では上記のようなお話をさせて頂きました。ただ登別市佛教会の方々も、体感としてはすでに同じ考えを持たれています。

 なぜならこの研修会は、今回初めて企画されたとのこと。今までやっていなかったことを新たに始めたのは、それだけの危機意識が生まれていたからでしょう(事前打ち合わせや当日にも、似たようなご意見はたくさん伺いましたし)。

 そんなわけで『お寺を盛り上げる7つのアクション』も、今回は登別用特別バージョンにしていました。コミュニティ作りだけではなく、そこからお寺を経済的に支えるための方法も盛り込んでいます。そのベースとなるのは、以下の話です。

 檀家数減少時代に収入を支える、石垣型のお寺設計

 檀家さんからのお布施以外で、お寺に収入を増やす5つの方策

 お寺にとって、これから起こる急激な変化に少しでも備えらえるように。今回の講演で参加されたお坊さん方が、新しく動くきっかけになったなら嬉しく思います。

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