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人口は減っても増えても、お寺は大ダメージを受ける

 人口が減少する社会では檀家数も減っていき、お寺は消滅していく。お坊さんなら耳にタコができるほど、飛び込む言葉ではないでしょうか。

 来月もとあるところで、この話題をテーマにした座談会にお呼ばれしていて、現在は下調べをしております。そんなこともあって、そもそも日本では人口がこれまでどのように推移してきたのかを調査してみました。

 有史以前から明治・大正時代にかけては、今のようにまとまった人口統計値はありません。このため幾つかの研究報告から抜き出した数値をプロットしたのが以下の図です。

 本当は縄文時代頃から調べたけど、近年の人口増加が大きすぎて古くなるほど変化が誤差レベルになってしまったので、とりあえず江戸時代以降を図化しました。

 対数グラフで作ればよいのかもしれないけど、それはちょっと面倒くさそうなのであきらめたよ。

日本の人口推移

 日本は有史以前から人口が増加し続けていますが停滞・減少は以下の4つの時代に起こっています。

 ○寒冷化により、食料が減った縄文時代
 ○温暖化による不作や疫病の流行などで、末法思想が広まった平安時代
 ○鎖国によって技術の進歩が止まった江戸時代中後期
 ○バブル崩壊以降に経済が低迷する現代

 これらに共通するのは、食料供給が不足したり経済が不調になるなど、人口を維持・増加させるだけのパワーを社会が得られなかったときです。

 もうちょっとかみ砕くと、人口って自然には増えないんですよね。「富の総和=人口」と言っても良いかもしれません。

 例えば江戸時代前期は、日本の人口が2倍くらいに増えました。戦乱の世に終わりを告げ、貨幣経済の普及や治水・灌漑技術の発達など、社会が飛躍的に発達した時期ですが、それだけ食料も効率的に作られるようになったのでしょう。

 しかし江戸中期に入って発展が一段落すると、人口は頭打ちになります。そこから抜け出す要因となったのが、明治維新後に流入した諸外国からの技術です。産業革命で培われた蒸気動力などは、日本の人口を一気に増やす要因になったわけです。

 そして現代はこれから未曽有の人口減少社会に突入します。これもまた日本が1億人以上の人間を食べさせられる富を生産できなくなるためです。

 寺社コン(婚活イベント)を主催するほーりーは「相手の年収が低くて結婚に踏み切れなかった」「子供は産んでも一人が限度」といった言葉もよく聞きますが、これも個人の価値観ではなく社会に人口を維持する力がなくなってきた証左でしょう。

人口は減少しても増加しても、お寺はピンチに陥る

 人口減少は日本に大きなインパクトを与えます。お寺に限っても檀家さんがどんどん減って、潰れるところも増えるはずです。

 ほーりーはこの問題をテーマに、僧侶研修会では何度も話をさせて頂きました。また、全日本仏教会の会報誌『全仏』や『月刊住職』の連載などでも、いろいろ意見を書かせて頂いています。

 檀家さんからのお布施以外で、お寺に収入を増やす5つの方策

 しかし例えば人口減少が全て悪、人口が増加に転じれば問題が解決するなんて話を聞くことがありますが、これはどうだろうと感じています。

 例えば先に紹介した、明治維新からの超人口増加時期。人口は150年で4倍近くも増えましたが、この間に国家を悩ませていたのは食糧難です。ブラジルやアメリカなどへの移民政策も、国内だけでは食いぶちを賄えないために生まれたものでした。

 また今となっては考えられない話ですが、人口抑制論も過熱します。政府は戦争に突入して「産めよ増やせよ」と大号令をかけた一時期を除き、少子化推奨に舵を取り続けています。

 1974年7月(ちょうど、第二次ベビーブームの時期です)に開催された『第1回日本人口会議』では、「”子供は二人まで”という国民的合意を得るよう努力すべき」という提言もなされました。

 つまり人口は増えても減っても問題が生じます。50年前の価値観からすれば、今の状況は願ったり叶ったりのはずなのです。

 なので現在、お寺が苦境に陥り始めた要因の一つに人口減少は挙げられますが、人口が増加に転じたとしても別の問題が生じてお寺は苦境に陥るでしょう。

 直接的な人口増加対策ではありませんが、お寺の収入を大きく削いだ戦後の農地改革も、食えない人を如何に減らすかという観点は含まれていました。

ということで、、、

 まだしばらくは先でしょうが、ほーりーはこれから日本の人口も増えていくと考えています。

 その萌芽の一つは自動化技術の発達です。ロボットやAIテクノロジーが進展し、人間の手を離れたところで富の生産が増えていけば、人口は増加に転じます。

 特に自動化技術の延長線上にあるものとして、ベーシックインカムが語られています。例えば国民に1人ずつ、月に10万円が支給されるとしたら、子供の誕生はそのまま世帯年収の増加を意味するようになります。

 すると一気にまた、ベビーブームが起こる可能性だってあるわけです。そして増えすぎた人口によってベーシックインカム制度の破綻が危惧され、少子化推奨に舵を取られて、、、と、時代は繰り返していくんだろな~と、ほーりーは見ています。

 先日の東京から人口が地方へ逆移動するモデルもそうですが、お寺や神社に関わる人間は、自分の寿命より長い単位で変化を見つめる習慣も必要かなと、今回は日本の人口変化についてまとめてみました。

100年後に過疎寺院が盛り上がる未来を夢想してみた

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