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宗教からお金を切り離せと叫ぶ人は、ゴシップ記事に煽られすぎだよね

01.寺社活性化
 

苦行中の釈迦

半年ほど前、佐賀県で宿坊とインバウンド(訪日外国人の誘致)をテーマに講演してほしいという依頼がありました。

そして9月頭に開かれる予定だったのですが、開催6日前に中止させてほしいと連絡がありました。

大っぴらに宣伝もしていたので隠しても仕方がないですが、佐賀県の行政書士団体からのお話です。

宿坊を作ろうとすれば当然、行政に提出する書類が出てくる。行政書士としては寺社に新たな提案ができるし、仕事を作る道にもつながる。さらには佐賀県の観光誘致になり、お寺や神社にとっても仏教や神道にふれる場が作れる。

そんなわけでまずは宿坊とは何か。観光立国化を目指す日本や、檀家や氏子数の激減している寺社の中で、ポジティブ、ネガティブ含めてどのような議論が生まれているか。「宿坊」が行政書士にとって新たなテーマを切り開けるか、それを知りたいということが当初の依頼です。

しかし、ビジネスと宗教を一緒に語るとはいかなることかという議論が最終会合で膨れ上がり、収集がつかなくなってしまったとのことでした(事前に行っていた意思確認もひっくり返されたという担当者の悲痛な声と共に状況が送られてきました。お疲れ様です)。

まあ、一週間切ってから意見を出すなら、なぜもっと早く言えないんだというツッコミは置いといて。これは普通に講演してくるより良いケーススタディになったので、宗教とビジネスの組み合わせについて考察します。

宗教とビジネスの融和と対立

宗教とビジネスを融和させたい私の考えは、「お寺や神社がお金を稼げば、私たち一般の人間にも還元される」というものです。逆の言い方をすると、寺社がお金を稼げなくなっていくことで、日本社会はこれから大きな損失を被っていきます。

この「大きな損失」には、ハード・ソフト両面があります。ハードについては古くから受け継いできた建物や文化財、境内風景の維持が不可能になりますし、ソフトでは信仰や神仏への理解が失われていくでしょう。そしてこれらがなくなっていくことにより、日本がこれまで育んできた精神性や伝統技術、地域の郷土史、コミュニティ基盤が消えていきます。

一方、宗教とビジネスを切り離したい方の考えは、「お寺や神社にお金がふれると、神仏が汚れる」というものです。お金は欲や世俗の象徴と見なされますし、お金を稼ぐ寺社を見てがっかりする人は少なくありません。

宗教からお金を切り離せという人は、ゴシップ記事に煽られすぎ!

ただ、私は思うんですよね。宗教からお金を切り離せという人は、週刊誌の(出所不明の)ゴシップ記事に煽られすぎなんじゃないかって。「戒名に何百万円もかかった」「お布施を差し出したら桁一つ足りないと突き返された」「お墓を他に移そうとしたら、高額の離檀料を請求された」など。

あるいはもっと率直に、詐欺的なイメージも強くあります。こんなツイートもありますし。

お布施などのお金のトラブルは、まったくの嘘ではないでしょう。当事者になった方ならお金に汚いお寺(あるいはお坊さん)を憎み、これが仏教の正体かと見切りをつけても不思議はありません。

が、一方で、こうした特殊な話題はどうしたって目立ちます。そして当事者でない人まで「坊主丸儲け」が頭に刷り込まれるから、「宗教」と「お金」が近づくと過剰反応してしまいます。最近は少しずつ新聞などでも取り上げられているものの、お寺や神社がこれからどんどん潰れていく問題はまだまだ認知されていません。普段はサラリーマンとして働きながらその給料で寺社を維持し、土日を使ってお坊さん・神主さんとして駆け回る人だって少なくないのです。

それこそメディアが「坊主丸儲け」より「寺院消滅」を多数取り上げれば、宗教にお金を近づけるなという人はだいぶ減るでしょう。絶対数で言えば丸儲けより消滅していく寺社の方がはるかに多いわけですし。

寺社に経済的余裕がなくなれば、熊本地震の時のお坊さんや神主さんによるボランティア活動のようなものも小規模になっていくはずです。

熊本地震の被災地支援に向かうお坊さん・神主さんたちまとめ

他にも無人のお堂から仏像が盗まれて海外に売られてしまうとか、困窮した寺院がカルト教団の傘下に入るとか、そうした問題もどんどん増えていくでしょう。

みんなもっと「個別の事象」ではなく、「傾向」に怒ろうよ。

発言に怒る価値はないが、傾向に怒る価値はある

佐賀県の後日談

九州佐賀国際空港

ということで6日前に講演中止になり、宙ぶらりんになってしまった私ですが、「転んでもただでは起きない」のがほーりー流です。講演料は2016年地方講演無料キャンペーンによりもともとゼロですし、収入的にはなんのダメージもなっしんぐ。

そして飛行機のチケットはすでに取っていたし(お金も出して頂きましたし)、宿坊も予約していたので、すぱっと佐賀で人と会う旅に切り替えちゃいました。

これとかね。

戦国グッズで名を上げた男が、命を賭けて移住した名護屋城跡がやばい

そしーて、最大の成果はやはり、宿坊を作りたいというお坊さんに会えたことですね。家に帰ったら早速、企画書がドドンと送られてきていました。

地方講演無料は宿坊作りに興味ある寺社を探す手段なので、今回は講演がなくなったおかげで巡り合えたと思えば、私にとってはむしろ得るものが多かったです。怪我の功名ってやつですね。

佐賀県に灯った宿坊の火が、これからどう広がっていくのか。私は寺社とビジネスをつなげる『寺社ビズ』や、そこに官公庁も加えた『産宗官連携』などを通して、その可能性を追っていきますよ!

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