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ワクチンをあいつが先に打ったと批判しても、世の中は退歩する

鬼と子ども

 このところ、新型コロナウイルスのワクチン摂取状況がニュースになっています。そしてどこそこの誰が先に打ちましたという話が、批判的に挙げられる話題をよく目にします。

 コロナが怖いから一刻も早く打ちたい。これはまあ、わかります。特に年配者でも完了宣言されている7月に終わるのは難しいという報道もありますし、焦る気持ちはあるでしょう。

 菅首相「私もショック」 高齢者接種完了の遅れ 新型コロナ

 ですがそこから「俺はまだ打ててないのに、あいつは先に済ませやがった」という発言は、現在の社会では害にしかならないとほーりーは考えています。

 昨今は格差社会と呼ばれ、持つものと持たざるものの差が激しくなってきました。例えばコロナによって、富裕層と貧困層は両方増えています。

 しかしワクチンは、一人2回打てば十分効果を発揮します。誤って3~4回くらい打つ人は出るかもしれませんが、金や権力にものを言わせて100回も1000回も一人で打つ人はまず現れないでしょう。

 そしてワクチンは低温管理が必要で、溶かしてから6時間以内に使用しなければなりません。さらに一人分ずつ解凍するのではなく、6本まとめてなどで解凍する形になっています。

 予約者自体が6の倍数きっちりになるはずもありませんし、当日にキャンセルしたり、無断で来ない方もいるはずです。中には複数の予約を取り、一番早く受けられるところで受けてあとは知らんなんて人間もいます。

 ワクチン接種 予約のキャンセル相次ぐ “予約の重複控えて”

 そう考えると余りが出るのは必然です。行政関係者など現場に近い方がその場で使ってしまおうと考えても、仕方ないと言えるでしょう。

もったいない精神を逆手に取る人は、どの程度出てくるか?

 ワクチンの先打ち問題は単にずるいという意見の他に、「あまりを打つことを肯定するなら、いずれ偶然を装い、あまらせて打つ人が出てくる」というものがあります。

 これは一理ありますが、それでも先に述べた通りワクチンはそもそもあまりが出るものですし、上級国民が一人で100本打つなんてことにも意味はありません。

 また、ワクチン問題で優先を認めると、他の問題にも波及するというものがあります。しかしこれはワクチンが最前線ということでは決してないでしょう。権力の横暴に関して言うなら、ワクチンなどはかなり些末な問題です。

 そして世の中にはバランスというものがあります。ワクチンを打つ順番にケチがつきすぎると、打てるのに打たない人が増え、廃棄されるワクチンも激増し、結果的に自分に回ってくるワクチンも遅れます。

 なのでほーりーはことワクチンに関しては、誰が先に打ったなど問題にしすぎない方が良いのではと考えています。

嫉妬を抑える仏教の言葉は、日本にとってとても大切

 そして上記の意見は、賛同して頂ける方と頂けない方といるでしょう。もちろんこんな意見を述べても、ほーりーの中にもモヤモヤな気持ちはあります。

 ただ、お坊さんの法話では、他人と自分を比べてうらやましがったり嫉妬を戒める話はよく出てきます。ほーりーの中でモヤモヤを因数分解すると、結局は「職権乱用してワクチンを先に摂取するなんてずるい」という気持ちに行きつくわけで、その程度なら糾弾しても意味ないなと考えるわけです。

 そして世の中の大半の意見を見ても、時にはご立派な社会正義を身にまとった言葉も見受けられますが、衣をはげば似たようなものと感じています。

 ワクチン問題を語るなら、なぜ日本はこれほどまでに普及が遅れているのかを語るべきで、政治問題はもちろんありますが国民性にも原因はあるでしょう。

 ちょうど先日、こんな記事が話題になっていました。

 日本経済、低迷の元凶は日本人の意地悪さか 大阪大学などの研究で判明

 その内容を軽く引用させて頂くと、以下のような話です。

 ○他の先進諸国は製造業の衰退後も高成長を続けているが、日本はできていない
 ○日本では新しい技術やビジネスが誕生するたびに批判が寄せられ、スムーズに事業を展開できない
 ○その間に他国が開発し、結局お金を払ってその技術やサービスを利用する結果となる

 ついでにこの記事の中では「新型コロナウイスルに感染するのは自業自得だ」と考える日本人の比率は11.5%と、中国の4.83%やアメリカの1%などと比べて突出して高かったとも書かれていますね。

ということで、、、

 そう言えばお掃除ロボットのルンバは日本でも作る技術は持っていたけど、ろうそくにぶつかるとか、階段から落ちて下の人に当たったら怪我をするという理由で商品化が見送られてきました。そんなうちにアメリカのiRobotが開発し、圧倒的なシェアを手にしています。

 ほーりーはこれに似た話をいくつも見聞きします。お寺社会は出るものを打つ文化(最近は少しずつ改善の兆しも見えますが)ですし、ほーりー自身も宿坊研究会や寺社コンなど、あれこれ叩かれてきました。

 逆に目立つ人を拾い上げていく社会はどんどん活性していきます。

 テクノ法要に見る、西本願寺に現れた黄金サイクルの兆し

 余ったワクチンをどう無駄にせずに活用していくか。これはこれで考えるべき問題です。新潟県三条市ではワクチン接種会場に近い学校教員に声をかけるといった対応を取られています。しかし教員がみんな打ち終わったらどうなるか。状況は刻一刻と変わります。

 目に見えるちょっとしたずるいやうらやましいをぶつけることで、世の中はどんどん退歩していきます。これから日本を発展させるために必要なのは、技術力より仏教なのではなんてことを、ほーりーは半ば本気で考えたりもしています。

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