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ワンコイン神楽には、「困った時の神頼み」を崩す力がある

先日書いた、ワンコイン神楽で議論が広まっています。

神社に年4672万円をもたらす、ワンコイン神楽の可能性

内容を3行でまとめると、

・タイで古典舞踊を舞って頂き、2分弱でヒンドゥー教の神様にお祈りできる場所があった。

・一日中申込者が絶えず、安い金額でも回転数が高いので大きな利益になっている。

・ワンコイン神楽として日本で同じことができれば、神社に収益をもたらす

というものです。

これに対して、遠野郷八幡宮の神職・多田宜史さんがフェイスブックにコメントを寄せてくださいました。紹介して良いよと仰っていただけたので、以下に掲載します。

ワンコイン神楽。心惹かれるネーミングですね。

私も昇殿祈祷は昔から敷居が高いと思っていて、もっとライトな儀式が出来ないものか考えたことがあります。もちろん何も思いつかなかったのでいまだに実現できていませんが……。

これの神社側のメリットとしては、経済的な事もさることながら、もっと個人的なこと以外のお願い事を祈願する場になりえることではないかなぁと思います。

昇殿祈祷を受けられる方は、人生儀礼や年中行事を抜きにすれば、切実な気持ちでご祈祷を受けられる方がほとんどです。「世界平和」「国家隆昌」「地域安寧」なども祈祷受付に掲げてはいるものの、少なくとも私は一度も頼まれたことはありません(経済が回復して就職しやすい世の中になりますようにという祈願は一度だけ頼まれたことがあります)。

この「ワンコイン神楽」に象徴される「ライトな御祈願」を受けられる方は、これらの御祈願をする可能性があるのではないかと思ったわけです。

神職の仕事は神様と参拝者の中執り持ち。神様の実在を信じる神社人として、こういった願いが増えることは、平和な社会への第一歩ではないかと感じた次第です。

これはすごいですね。私もまったく考えていませんでした。

確かに私がプライベートで昇殿祈祷を受けたのは、東京の府中市に引っ越しした時でした。新たな生活のスタートに、近所の大國魂神社で「家内安全」をお願いしています。

ご祈祷は金額も高めですし精神的なハードルもあるので、どうしたって人生の節目や何かに思い悩んだときになりがちです。

ですがもしも短時間とは言え、500円で神楽を舞って下さりご祈祷が受けられる(それもその場ですぐに)なら、これは話が変わってきます。

ライトな感覚であれば、個人を超えた大きなことも願いやすくなる。これは多田さんの言う通りでしょう。

ヘビーな1回とライトな10回は、どちらが価値があるか?

少なくとも世界平和規模の途方もない願いなら、私はライトな10回の方が効果があると考えています。これはどんなに厳粛なご祈祷でも、世界平和なんて日常的に思い続けるのは難しいためです。

ですが一回一回は軽くても、繰り返し願う機会が生み出せるなら、それは人の心に染みていきます。余談ですが恋愛の心理研究では一度に高額なプレゼントをするより、少額でも数多くプレゼントする方が、相手の心に残りやすいと言われています。

また、このソーシャル時代、個人の体験はどんどん拡散されます。その中で500円で神楽を舞って頂けるという話題が広まれば、私もお願いしたいという人は間違いなく出てくるでしょう。一人がヘビーに願うのと10人がライトに願うのとでは、拡散力も異なってきます。

上で紹介した多田さんは名古屋にある熱田神宮で、寸志を納めると巫女さんに鈴祓いをして頂けるテントを見かけたそうです。

熱田神宮の鈴祓い

私がお参りした時は見なかったので常設ではないかもしれませんが、写真を見たらちょっと体験してみたいと思いますよね。

日常的に小さく祈る場作りは、もっと増えてもいい

「小さな祈りの場を作る」というコンセプトで最近頑張っているのは、PRAY for (ONE)という団体ですね。

サイトにある説明には、

PRAY for (ONE)は、日常にある「小さな祈り」を
大切にするために、生まれたプロジェクトです。
やり方も、時間も場所も、信仰も問われません。
「誰か=(ONE)を想う」それが祈ることへの入り口です。

みんなが、毎日少しずつ、誰かのために祈ったら、
世界はもっと優しく、美しくなれる。そう信じています。
あなたは今日、誰のことを、祈りますか。

と、書かれています。

また、もっと分かりやすく直感的な、こんな動画もありました。

「困った時の神頼み」という言葉があります。ですが困ったからではなく楽しいから祈りたくなる仕組みが増えれば、きっと祈りはもっと身近になります。

「祈り」を日常的なものにすることは、神社でもお寺でもこれからさらに大切になっていくのではないでしょうか。

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熱田神宮の鈴祓い

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