アンカレッジの樹木葬墓地は、管理に手間がかからない
先日、東京ビッグサイトで行われたエンディング産業展。非常な盛り上がりを見せたこのイベントですが、ほーりーも顧問を務める霊園会社・アンカレッジのブースに立っていました。
アンカレッジの詳しい紹介は、こちらの記事をご参照ください。
駐車場3台分の土地で1億円以上の大ヒット。お寺の樹木葬を改めて紹介
そしてブースで多く受けた質問のひとつに「樹木葬は植栽管理に手間がかかるんじゃないの?」というものがありました。
うんうん。植物は生きていますしね。見た目が良いのは最初だけで、それを維持しようとしたらものすごく忙しくなるのではとか、技術がなければ荒れ放題になってしまうなど、心配するのもよくわかります。
というよりも私も最初にこの質問を受けたとき、確かにこれだけの庭苑を維持しようとしたら、お金も労力もかかるのではと答えに詰まりました。
ということで樹木葬の管理を伊藤社長にいろいろ聞いていたのですが、実は思ったほどには管理の手間はかからないようです。なので今回はこの樹木葬の維持についてまとめます。
手間がかからないアンカレッジの樹木葬設計
アンカレッジの樹木葬は庭苑設計と運用設計の2つの面から、管理に手間がかからないように作られています。まずは庭苑について。
手間がかからない樹木葬 ~庭苑設計編~
樹木葬墓地で庭苑を設計して頂いているのは、石原和幸デザイン研究所です。こちらは日本を代表する造園家・石原和幸氏が率いる造園事務所。石原先生は国際ガーデニングショーの最高峰「英国チェルシーフラワーショー」で6年連続金メダルを獲得し、イギリスのエリザベス女王から「緑の魔法使い」と称された超カリスマ的人物です。
アンカレッジには何度かお越し頂いていますが、私もまだ会ったことがないや。
石原先生は人生もドラマチックです。25歳の時に独立するもすぐに長崎大水害に見舞われ、全財産である軽トラックが流されて花畑が全滅。41歳の時、大手商社から合弁会社設立のアプローチを受けるも売り上げが伸びず、8億円の負債を抱えて2年で会社をたたむ。しかしこうした苦境から不死鳥のようによみがえり、上述した「英国チェルシーフラワーショー」でのメダルラッシュ。
そんなわけでこのデザイン事務所はアーティスティックな部分でも最高峰なわけですが、当然ながら庭苑造りは「見た目さえよければあとは知らない」なんて世界ではありません。造成した庭苑が長く愛され、活用されていくことにも非常に気を使われています。
まず第一に上げられるのは、植物の選定です。私が聞いた例を挙げると、苔は見栄えが良く日本庭園でも良く使われるものですが、管理がとても大変とのこと。しかし同じように緑で地面を覆うセダムという植物があり、こちらは芝生や苔より水も使わず、生き生きと育つのだそうです。
下の写真はお墓の周りに植えられたセダムです。
また設備面も最新のものが使われ、隅のほうに自動給水器が配置されています。水やりは草花が根付くまでの初期を除き、人間の手ではほとんど行う必要がありません。
他にも四季折々の草花が配置され、長い季節に渡って見た目が楽しめるように工夫されています。
ただしさすがに全く手をかけず、放っておいてもよいというわけにはいきません。一番手がかかる(特に夏)のは、雑草取りとのこと。こればかりは目についたものを、抜いていく必要があります。
とはいえ、こちらの樹木葬はリスクを抑えたスモールスタートが一つの特徴であり、その分面積(駐車場3台分が一つの目安)も広くありません。日常的に見に来るくらいで、十分に対応できる範囲です。
手間がかからない樹木葬 ~運用設計編~
運用についても、お寺の負担になりにくい設計がされています。最も大切なのは管理費の設定です。
お墓購入者には、毎月の管理費が設定されています。これはお墓の種類(埋葬可能な人数)によって3000~15000円/月となっていますが、樹木葬の庭苑を管理する費用として賄われます。
アンカレッジの樹木葬を導入しているお寺では、月に一度程度で植栽屋さんに手を入れて頂いていることが一般的です。伸びすぎた枝を落としたり、新しい植物を植えたりといったことは、慣れていない人が手を出すには不安になる作業です。
しかしこうしたものをプロにお願いしても金額では月に3~5万円程度(植物の購入などは別途必要ですが)ですし、お寺にすでに出入りされている方がいれば一緒にお願いすることも可能です。
(なお、石原和幸デザイン研究所でもこうした運用の継続をしっかり考えられています。私が見たいくつかのお寺の例では最初から地元の会社と一緒に庭苑を作り、管理方法を伝えた上で引き継がれていました)
そしてこれらの金銭コストをお寺が出していたら大きな負担になりますが、管理費が振り込まれることで無理なく庭苑が維持できます。
ちなみに余談ですが、管理費を設定することは、以下のようなお墓購入者が亡くなった後のトラブル防止にも役立ちます。
お墓を買っても、亡くなった後に本人がお墓を用意していたことを誰も知らない問題。これを防ぐために、私が顧問を務める霊園会社・アンカレッジでは管理費を設定しています。振込みが途絶えたら、何かあったと気がつくという仕組みです。https://t.co/NXgyek7aMe
— ほーりー(寺社旅研究家) (@holy_traveler) 2017年5月13日
ということで、、、
アンカレッジのお寺の樹木葬。緑にあふれた温かみある雰囲気のお墓の裏で、実はものすごい努力の末に維持されているのではと疑問を持たれた方もいました。しかしその辺もアンカレッジや石原和幸デザイン研究所さんが、しっかりとクリアしています。
全くほったらかしでよいというわけではありませんが、無理のない管理が行えるように形が考えられていました。
またお寺によっては住職さんが庭いじりが大好きで、植栽屋を呼ばずに全て自分で手を入れているところもありますし、定期的なメンテナンスはお寺で行い、植物の植え替えの時だけプロを呼ぶというスタイルのお寺もあります。
この辺は要望をもとに庭苑コンセプトを作ったり、細かな運用を変えたりといったことも可能です。そしてお参りしやすく、お寺を経済面でも布教面でも支えるお墓は成り立っています。
今回は庭苑の管理に焦点を当てて解説してみましたが、女性目線、お寺に特化、リスクを抑えるスモールスタートなど、お寺の樹木葬にはさまざまな特徴があります。さらに知りたい方がいたら、東京、京都、札幌で、アンカレッジによる無料セミナーも行われていますよ。よろしければ以下の案内もご覧下さいませ。
ご住職のための永代供養墓セミナー
永代供養墓でお寺の未来を考える住職のための勉強会です。現在進行形で樹木葬墓に取り組み、挙がった成果を取り上げながら学ぶため、実践的な情報が満載です。
○セミナー内容
1.機械式納骨堂? 樹木葬墓? 散骨? 送骨納骨? データで見る最新のお墓事情
2.檀家離れの時代に寺院墓地は売れないのか? データで見る最新の消費者事情
3.いま売れている永代供養墓! 樹木葬墓の見学
4.永代供養墓でお寺はどう変わる? 先行したお寺の住職との懇談
ご参加いただいたお寺様には「とても面白い!」と好評。参加寺院6割から「うちのお寺にも提案がほしい」と無料提案のご依頼が寄せられる好評のセミナーです。
(無料提案は申込順になっておりますのでご了承ください)
日程 : 下記申込みフォームの参加希望日の欄を参照
会場 : 東京(道往寺)、京都(本昌寺)、札幌(TKP札幌)
参加費 : 無料
参加資格 : ご住職、副住職ほか寺院関係者
【会場地図】
【申込みフォーム】