現金のお賽銭情緒も残ってほしいので、珍しいお賽銭をまとめました
昨年末にPayPayがお賽銭に対応されたニュースが、お寺・神社界に流れました。先日書いた以下の記事では、キャッシュレスのお賽銭が広がった時の未来予測を書いています。
キャッシュレスお賽銭はメリット多いが、新たな詐欺には気をつけたい
記事内でもふれましたが、ほーりーは(注意点はあるものの)キャッシュレス賛成派です。ただ一方で従来の現金を入れるお賽銭も残ってほしいと考えています。
そんなわけで今回は日本中でほーりーが目にした、現金ならではの変わったお賽銭を紹介します。いろんな形が世の中に知られていけば、現金の良さも伝わっていくのではとまとめてみました。
現金のお賽銭情緒も残ってほしいので、珍しいお賽銭をまとめました
ご利益別のお賽銭
まずは東京・法乗院(深川ゑんま堂)のお賽銭箱です。こちらはお金を入れる場所が細かく区切られ、ご利益ごとに選べるようになっていました。ちょっとした仕切りとプレートをつければ、他の寺社でもすぐに導入できそうです。
この形式だと自分の願いを意思を持って選ぶことができますし、自分が考えていなかったお願い事を意識するきっかけにもなりそうです。
またお寺や神社にとっては参拝者の願い事を、アンケートのように調査することができます。これは新しいお守りなどを導入する時の参考になるかもしれません。
幸せがたくさん来そうなお賽銭
京都・下鴨神社の境内にある相生社は、縁結びで有名なお社です。そしてこちらのお賽銭箱には「幸千(さいせん)」と書かれていました。
幸せ×1000ということで、ものすごく人生が上向きそうですね。シンプルな当て字ですが、心がほっこり温まる素敵なメッセージでした。
高い場所に投げ入れるお賽銭
東京・宝珠院には、お賽銭箱が高い位置に設置された『天上天下賽銭箱』があります。説明には「運気上昇! 景気よく! 夢も希望もとにかく高く!」と書かれていました。
こちらは私も挑戦しましたが1回では上手くいかず、何回か硬貨を投げてようやくお賽銭箱に入りました。根気よく入るまでとも書かれていますが、頑張って成功した時はちょっとした達成感がありますね。願い事も普通にお賽銭箱に入れるより、叶いそうな気がしてくるから不思議です。
また山口県にある元乃隅神社には、お賽銭箱が鳥居の上にあります。こちらも硬貨を高く正確に投げないと入らないので、チャレンジ精神が刺激されます。バスケの経験者は、こういうのも上手いのでしょうか。
他にも京都ゑびす神社に、似たような場所があります。鳥居の上に恵美須様の顔と熊手がついていて、お賽銭を投げ入れるようになっていましたよ。
遠い場所に投げ入れるお賽銭
千葉県の長福寿寺には護摩の炎に一頭の象が舞い降りたという伝説に基づき、吉ゾウくんというキャラクターがいます。そして境内の奥には、吉ゾウくんめがけて百円硬貨を投げ入れる運試しの場があります。
見事身体の上に乗ると超大吉、足元に硬貨が乗ると大吉です。そして池の中に落ちてしまった場合は「何度でも挑戦して欲しいゾウ?」と書かれていました。
ちなみに百円玉と指定されていますが、これはあなたは唯一の存在であることを表す「一」と吉ゾウくんが「白」い象であるため、この二つを合わせて「百」円となったそうです。やる側としては地味にお金がかかるので、一発で決めなければととても慎重になります。
ご利益別&遠い場所に投げ入れるお賽銭
ペナン島(マレーシア)のビルマ寺院で見たものですが、仏様の周りを回転している器めがけて、池の向こうから硬貨を投げ入れる場所がありました。
しかも器の一つ一つに、「HAPPINESS(幸福)」「GOOD LUCK(幸運)」「HAPPY MARRIAGE(幸せな結婚)」「HIGHER EDUCATION(学業成就)」「GOOD HEALTH(健康)」「BON VPYAGE(旅行安全)」「SUCCESS(成功)」「HARMONY(調和)」「PROSPERITY(繁栄)」といった言葉が書かれています。
うん。これは上で紹介した「ご利益別」と「遠い場所に投げ入れる」の合わせ技ですね。しかも速くはありませんが動くので、狙ったところに入れるのは難易度が高かったです。
お賽銭用の両替
香川県の善通寺にはお賽銭を入れながら八十八カ所の札所を回る、お砂踏み道場がありました。これだけなら同じ形式はあちこちにありますが、印象に残ったのは小銭がない方のための両替用硬貨が用意されていたことです。
うん。たくさん小銭が必要なので、これはとても助かりますね。
善通寺では残念ながら内部の写真が撮れませんでしたが、タイのバンコクにあるワットポー(涅槃寺)でも、似たような場所を見かけました。
20バーツ分の小銭がカップいっぱいに入れられていて、入り口で紙幣と交換してからお参りしました。
お賽銭専用コイン
名古屋にある万松寺は、独自方法でお賽銭のキャッシュレス化を行ったお寺として有名です。境内にある自動販売機で『Banshoji Coin』を購入し、こちらをお賽銭に使うことで現金を持たない人や海外からの旅行者に対応されています。
だいぶ昔に以下の記事で似たような手法を書いたので、このコインが出てきた時には私のアイディアがさらにアップデートされて登場したと思ったものです(別にこのブログを読んで作られたわけではないでしょうが)。
ただネット上にあった記事を読むと、お賽銭としてよりお守りとして持ち帰る方のほうが多かったとも書かれていました。それはそれで、良いご縁につながる気がします。
1円玉禁止の注意書き
長福寿寺にはお賽銭箱に、1円玉を控えるようにと記した掲示があります。
こちらはゆうちょ銀行が硬貨入金に手数料を設定した時、このブログでも紹介しました(ただ長福寿寺さんはそれ以前から貼り出していたので、ゆうちょ銀行の制度変更を意識してのものではありませんが)。
ゆうちょ銀行の硬貨手数料有料化には、長福寿寺モデルが役に立つ
この方策はお坊さんの間でも賛否両論ありましたが、現金のお賽銭を維持する上では有効ではと感じます。あとは外国の硬貨が入れられる話もよく聞くので、これらに注意を促すのもありかもしれませんね。
お賽銭箱の上に参拝作法を細かく書く
千葉県の本光寺には、お賽銭箱の上に参拝作法が細かく掲示されています。本堂内には様々な仏様や神様が祀られているので、ご利益別にその方向が記されていて、お参りする時の手順や願い事、悩み事の伝え方も分かりやすく書かれていました。
ここまで丁寧に書かれていると、お参りする側も背筋を正してじっくり手を合わせなきゃと思わされます。
目の錯覚を利用したお賽銭箱
岐阜県高山市にある日枝神社には、目の錯覚を利用したお賽銭箱があります。
こちらは立体錯視研究者であり、明治大学特別教授の杉原厚吉氏が監修して制作されたもので、銀杏の葉の模様が鏡に映ると正方格子に変わる特別な形状をしています。
何度見てもなぜこうなるのかよく分からず、不思議なお賽銭箱でした。
音や光が出るお賽銭箱
インターネット上でも変わったお賽銭がないか探したら、光や音が出るお賽銭箱が見つかりました。
まずは光るお賽銭箱ですが、岐阜県の恵那峡にある弁天島に設置されています。こちらは木曾川の中にポツンと浮かんだ小さな島で、恵那峡公園から橋を渡ってお参りすることができます。
ただ実際には素通りされてしまうことが多かったため、何か特徴あるものをと地元の方が話し合い、夜になると光を発するキューブ型のお賽銭箱が誕生したそうです。
また音が鳴る賽銭箱は、大阪の稱念寺にあります。こちらは「ほほえみ夢叶え地蔵」というお地蔵様の横にあり、センサーが反応してチーンというお凛の音が鳴る仕掛けになっています。
恵那峡はまだ行ったことがありませんが、稱念寺の前は何度か歩いたことがあるのに、このお賽銭には気が付かなかったです(下寺町にあります)。今度近くを通った時は、ぜひお参りしたいところです。
それとこのページで最初に紹介した法乗院では、お賽銭を入れると閻魔様からのメッセージが音声で流れます。人生の指針になるようなありがたいお話しも聞けるので、初めての方はちょっとびっくりする仕掛けですよ。
と、いうことで、、、
今回はほーりーがこれまで見てきた、変わったお賽銭がある寺社をまとめました。
ところでお賽銭はやっぱり現金だよねという方に向けて書いたつもりでしたが、そうした方はこういう変わり種も好まないかもしれません。
むしろキャッシュレスお賽銭って楽しそう! という方のほうが、喜びそうな気がします。ブログ書きながらそんなことをふと考えてしまいましたが、もし興味ある方がいたらぜひそれぞれお参りしてみてくださいね(そしてあわよくば、こうしたお賽銭を始められる寺社も増えてくれたらと思います)。