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日蓮宗はいい加減、身延山の観光ガイドを作ろうよ

先日、久遠寺という本が発売されたので、Amazonでタイトル買いしました。そして、だまされました。



 週刊仏教新発見 改訂版 久遠寺

 朝日新聞出版

 Amazon で購入

この本。めちゃくちゃ面白かったです。タイトルが『日蓮宗』であったなら。

いや、明らかに『久遠寺』じゃないんですよ。だって35ページあって、久遠寺のことはほんの数ページしか出てこないのですから。

歴史がちょちょいと載っていて、見開きで境内図が書かれていて、あとは四季の写真が数枚程度。面白かったのは『熱狂的な日蓮信仰はいかにして起こったか』という日蓮宗の歴史紹介です。

同じシリーズの本を読んでいないのでみんなこのテイストなのか、それとも身延山の取材ができなかったからかは分かりませんが、期待が大きかっただけにダメージもでかかったです。

なんというか、身延山(久遠寺)の本はこんな感じで観光視点を持ったものがほとんどないんですよね。私の本棚にも何冊か並んでいますが、本職やマニアしか読まないカチカチの信仰について語ったものか(上の本もこの分類)、大学の先生が書いた郷土史をまとめたものか、あとはものすごく古い本しか見当たりません。

手あたり次第に買っていけば良いのがあるかもしれませんが、お寺や旅行の本を何百冊と読んでいる私ですらこんな状態です。身延山に行ってみようという普通の人が、分かりやすいガイドブックを手にできる可能性はかなり限られているでしょう。

Amazonで「身延山」や「久遠寺」で検索してみて、その後「高野山」「善光寺」と入れてみると、その差に愕然としますよ。

日蓮宗はいい加減、身延山の観光ガイドを作ろうよ

で、表題ですが、日蓮宗は本当に身延山のポテンシャルを見誤っています。私はもう、日蓮宗のお坊さんに何十人と身延山をしっかり発信すべきですよと言ってますが、残念ながら動きはほとんど見えません。

いや、身延山は世間に開くつもりがないというなら、しかたないんです。でも、2011年にできた『みのぶガール』というサイト。私も日蓮宗さんから依頼されて宿坊コラムを書きましたが、女性目線を強烈に意識しています。

身延ガール

しかし作ったは良いものの、完全放置状態です。今見たら、一番下にあるCopyrightだけ「2016」となっていたので、誰かが管理はしているのでしょうか? とは言え作ることが目的というか、予算を消化して満足と言うか、悪い公共工事の見本みたいになっています。

単に計画性がなかったのか、何か大人の事情があって中止に追い込まれたのかは分かりませんが。うん。頑張ってコラムを書いた人間としては、一言ぼやきたくなります。

また、身延山って観光パンフレットはものすごく数があるんですよね。種類で言えば、高野山より多いんじゃないでしょうか。私は身延山のパンフレット、手に入れたものは全てスキャンして保存しているので、身延山は売り出す気ないんですよと言われても、ちょっと首をひねります。

パンフレットの発行者は「身延山久遠寺」だったり、「身延山観光協会」だったり、「身延町商工会」だったりするので、もしかしたら乱立気味かもしれませんが、地元の熱意は感じます。

他にも山梨県は景観形成モデル事業として、街並み整備を図っています。「日蓮宗」だけではありませんが地元も含めれば、むしろ観光誘致に向けたやる気は見せている地域です。

最近ではゆる身延さんも頑張っています。こちらなんて、一身延町民が作っているfacebookページですよ。私はむしろこういった情報発信を、みのぶガールに期待したかった。

身延山は一大観光拠点になるポテンシャルがある

身延山の弱点は、桜を除くと情報がない事です。なので外部から人を呼び込むことができていません(日蓮系の各種宗教団体は別として)。

しかし身延山は観光的に、これだけのメリットがあります。

都心から低料金でアクセスできる

例えば東京駅から身延まで行くと、バスも含めて3時間半強で着きます。これは東京~金沢(新幹線移動)よりは時間がかかりますが、金額的には安く済ませることができます。

Yahooの路線検索で調べたら、以下のようになりました。

東京~身延(三島回り) 3時間23分/5730円
東京~金沢       3時間2分/14120円

ついでに新宿から身延山へは直通バスも出ています。こちらも所要時間は約3時間半で、料金は片道2900円。旅行をかなり安く済ませることも可能です。府中に住んでいる私は歩ける距離にバス停があり、さらに手軽でしたよ。

これは価格を落とした低予算ツアーが組みやすいことはもちろん、旅行客をしっかり満足させる仕組みができれば、金沢よりも地元にお金が落ちやすくもなります。

壮大なお寺の景観

身延山久遠寺は、巨大なお寺です。これはもう、写真を見て頂いた方が早いでしょう。

三門は豪壮です。

身延山の三門

参道の菩提梯は、心臓破りの急な石段!

身延山の菩提梯
境内には2500人もが入れる本堂や五重塔、美しい庭園など見どころが多数あります。奥の院や門前まで含めれば、一日では到底見切れない広さです。

身延山久遠寺の本堂

夜もきれいでした!

身延山久遠寺の夜の境内

宿坊がある!

私が何より身延山を推したいのは、宿坊があるからです。いや、都心から近くてこれだけ宿坊が残っている地域は貴重ですよ。

関東からアクセスしやすい宿坊街というと、一番最初に候補に挙がるのは長野・善光寺です。しかしすぐ近くに新幹線が止まる交通の便では譲りますが、それ以外では身延山も負けていないと思っています。

身延山の宿坊

宿坊はこれからの観光において、ますます重要キーワードになっていきます。現在私が携わっている宿坊創生プロジェクトでは新しく宿坊を作っていくことにも挑戦していますが、やはり古くからある宿坊はこの業界をリードします。

宿坊は滞在型の観光です。それは日帰りで済むところを一泊に、見るだけで終わる観光を体験に、ふれることのなかった仏教には接点になっていきます。

唱題行だって、宿泊するからこそ行ってみたいと思えますし。

身延山宿坊の唱題行

総本山・久遠寺の門前に多くの宿坊があることは、日蓮宗にとって大きな玄関口です。

名物の湯葉料理

観光において、食は重要要素です。その点においても身延山には「湯葉」という名物があります。

身延山の湯葉と精進料理

身延山は日蓮聖人が晩年を過ごした土地です。身延に伝わる湯葉も、もともとその日蓮聖人の身体を気遣った弟子たちが、師の栄養源として作ったのが始まりとされています。

宿坊でも湯葉料理は人気ですし、門前のお店でも湯葉を頂けるお店はたくさんあります。身延山山頂の身延庵では「ゆばカレー」や「ゆばロコモコ丼」なんてものもありました。ゆばカレーは私も食べましたが、おいしかったですよ!

身延山の湯葉カレー

低カロリーの美容食としても、湯葉は人気が高まっています。精進料理×湯葉。これは身延山にとってはキラーコンテンツです。

富士山が近い

日本人は言わずもがなですが、海外からの旅行者にとっても富士山は憧れの山となってきています。

身延山から見える富士山

身延山頂からだと少し山の陰に隠れてますが、それでも富士山が見えるビューポイントがあります。

東京から富士山を抜けて京都・大阪へと向かう道は、外国人の定番日本観光として『ゴールデンルート』と呼ばれています。身延山はこのコース上に位置しており、海外からの観光誘致も有利です。

下部温泉も近くにあるし、勝沼のワイナリーだって足を延ばせば動けます。周辺まで含めれば、山梨での滞在日数を伸ばす拠点にだって成りえます。

美しい四季や年間通した行事がある

身延山と言えば桜は有名です。観光情報と言えば桜しかないんじゃないかというくらい、桜の話題が目立ちます。

これは奈良の吉野とも、ちょっとかぶりますね。吉野も桜が有名ですが、それ以外の時期は閑散としていることが悩みで、オフシーズンの観光発信に力を入れています。

で、身延に話を戻すと、美しい自然があり、四季折々に景色を楽しむことができます。また、さすがに日蓮宗の総本山だけあって、一年を通して法要や行事も多いです。

竹之坊の紅葉

ただ、これもやはり情報不足が顕著です。三門にはこんな紙が貼られていましたが、ネット全盛時代の今になってもあまり情報が出ておらず、16日に行って本当に十六羅漢像を拝観できるか不安になっちゃうレベルです。

身延山三門拝観

三門前でコンサートやったり、僧侶との婚活イベント開かれたりもしていますが、こうしたものも地元オンリーなんですかね~。

細かく興味を引く小ネタが多い!

身延ガールが本当に惜しかったと思うのは、ちゃんと続けていけば身延山には魅力ある小ネタがたくさんあったのに、それを紹介することなく更新が止まってしまったことです。

例えば、三門の仁王様。こんなに丁寧な説明が掲げられているのに、久遠寺公式サイトの三門説明では何もふれられていません。

仁王様の説明

菩提梯の急勾配だって、一段がこの高さですよ。高さ104m、段数は287段。単純に割っても、一段の高さは36cmです。

36せんちって。ちなみにほーりー家の階段は21cmでした。

久遠寺の菩提梯

他にも写経体験をしたり、

久遠寺の写経

おりんを鳴らしたりと、面白いものがたくさんあります。

久遠寺のおりん鳴らし

祖師堂の力神も、超気になる存在です。

久遠寺の力神

と、こうした小ネタもちょっと歩けば、たくさん見つかるわけです。それを丁寧にまとめるだけでも、滞在時間なんて半日は余裕で伸びます。

ということで、、、

宿坊がある街なので私も何度か行っていますが、身延山は行くたびにもったいないと思っています。

日本各地を回っている私の感覚から言えば、高野山は別格にしろ、それ以外では宗教街として他にない特殊な街です。

こんなことを言うと申し訳ないですが、同じ人里離れた本山として福井県の永平寺があります。ですがこちらと比べても身延山の門前の方が「宗教街」を感じさせます(やはり街中に宿坊が並んでいるのは大きい)。

また高野山だって十数年前は宿坊協会に問い合わせても「宿坊なんてどこも変わらないよ」と事務的に言われたくらいです。それが今では宿坊だけで一冊の本が出たり、細かなプロモーションも仕掛け続け、いつか行きたい憧れの街という地位を確立しています。

私は身延山が東日本側で、この地位を占めることは十分可能と考えています。山の正倉院と呼ばれる高野山に指定文化財点数では勝てませんが、文化財の数だけで人が来るわけではないですしね。

心静かに参拝したり、おいしい料理を食べたり。そしてお坊さんとふれ合える時間をきっちり作れば、身延山は劇的に変わっていきます。

日蓮宗って各宗派を見比べると、いろいろ先進的な取り組みしているイメージがありますが、身延山についてはなんでこんなに手付かずなのでしょうか。やっぱり宗教団体がいろいろお参りに来るので、個人旅行なんて相手にしてられないってことかな(と、ちょっと邪推してみたり)。

宿坊創生プロジェクトでも身延山のことはたびたび話題に出していますし、身延山の観光誘致にご興味ある方いましたら、ぜひお声がけ下さいませ。

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身延山久遠寺の夜の境内

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