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全日本仏教会の会報誌で老害の構造を語ったほーりーが伝えたいこと

全日本仏教会の会報誌『全仏』

全日本仏教会が発行している会報誌『全仏』。こちらをリニューアルするので、(今までの行事報告的なものだけでなく)手に取って読みたくなる紙面にしてほしいと依頼された、ほーりーのコラム。

先日の第640号で、一年間の連載(季刊誌なので計4回)を終えることができました。

超フォーマルな組織の中でも攻めた記事にしてほしいと要望され、ヒヤヒヤしながら書いた話ばかりです。そんな中で第一回目の後に以下の記事を書きましたが、編集部のお坊さんがアグレッシブだったのは、勇気づけられました。

全日本仏教会の機関誌『全仏』編集スタイルに、変革の意志を感じる

これが波風立てないことを第一優先する方だったら、ものすっごく無難な文章しか書けなかったですよ(その前にそんな方針なら、私に声はかからなかったでしょうが)。

そして最終回は、今までで一番アクセルを踏んでみました。それがタイトルにも書いた、「老害」とは何かという構造解説です。

(念のため言っておきますが、誰かを老害と揶揄する話ではありません)

はっきり言ってしまえば、私が勝手に自重するよりとりあえず書いてみて、ダメだったら止めてくださいというスタンスで出したのですが、編集部のお坊さんから「頑張って会議で通す」と言われてほぼ原文通りに掲載されたので、また少しビビりました。

しかし共通する想いが感じられたので、今回はほーりーが伝えたかったことをブログでもまとめてみます。

『全仏』で語った、老害の構造とは

全仏・老害の構造

「老害」は近年、急速に使われることの多くなった言葉です。どちらかと言えばインターネット上でのスラングに近く、気持ちの良いものではないかもしれません。

ですが倫理・道徳的な観点は横に置き、老いることがなぜ侮蔑の対象となってきたのか。ここには3つの理由があります。

(1)年配者が急速に増え、長寿が珍しくなくなったこと
(2)若年層と年配者の人口比率が偏り、若者に極端な負荷がかかっていること
(3)一生使えるスキルが世の中から消えてきたこと

(1)(2)はいわゆる社会の高齢化によるものです。人口の多い世代の意見が政治に過剰に反映されやすくなる「シルバーデモクラシー」や、年金受給額の世代格差は深刻で、若者から見た年配者は搾取される対象となりつつあります。

そして(3)の一生使えるスキルがなくなってきたことは、時代の変化が早くなってきたことによります。

たとえば私の周りではカメラマンが象徴的ですが、誰もがスマホを手に持つ現代において、写真が撮れるだけで仕事につなげることは難しくなりました。

またコンピューターの世界も日進月歩です。私は以前、システムエンジニアとして働いていたことがありますが、入社して2年目にはひとつの分野で社内トップの知識を手にしていました。これは私がすごいのではなく、社内で誰も触ったことがないシステムを任されたためです。

昔の職人であれば50年かけて磨き上げた技術は、後進に対して圧倒的な優位を誇っていたでしょう。

ですが社会の変革が進む今では、新しいやり方がどんどん生まれてきています。そこで大切になるのは知識や経験を定期的に捨てることで、それができずにいる人が「老害」と呼ばれるようにもなりました。

お坊さんは老害と呼ばれやすい環境に身を置いている

知識や経験に価値が無くなったと言えば、目をむいて怒る方もいるかもしれません。ですがこれはやはり変化の少ないお寺社会だから言えることです。

般若心経の中身は、百年経っても変わりません。しかしお寺の外ではそのくらい根幹的なものさえ、当たり前のように刷新されます。お経の中身がもしも3年ごとに書き換えられて、ゼロから覚え直さなければならないとしたら、きっと知識や経験のある人ほど混乱が生じるでしょう。

以前に以下の記事を書きました。

経験やスキルは財産であるという考えは、もう古いに違いない!

経験やスキルは財産であるどころか負債である。これまでの常識さえひっくり返る価値観が、世の中には生まれています。そしてこの移り変わりの激しい世の中と悠久の仏教を見比べた時、諸行無常へのアプローチが大きくずれてきました。

そこに自覚がないと、引かれたレールの上から外れず、難易度の高い人生を歩むこともできないのに、人前で生きる道だけ語ろうとするお坊さんが大量生産されてしまいます。

これこそまさに、老害と言われても仕方ないでしょう。仏教の歴史はとんでもなく長い分、それを背負ったお坊さんは年配者ではなくても老害と言われやすい状況なのです。

ということで、、、

『全仏』ではこうした老害の構造について語らせて頂いた後、結論としてお坊さんに前例のないことへの挑戦をお勧めしました。

これは『お寺を盛り上げる7つのアクション』の締めでも語っている内容です。このブログでも過去にいろいろ書いているので、ここではあえてふれませんが。

仏教はどれだけ時代が変わっても通じる真理だと、私はいろんなお坊さんから聞いてきました。そこ自体に異論をはさむつもりはありませんが、それを担保してくれるのが現代に生きる僧侶なのかどうかを、お寺の外にいる人は見ています。

もしも仏教の素晴らしさを証明するのが目の前のお坊さんではなく、お釈迦さまや宗祖だけなのであれば、その方は老害と思われても仕方ないのかもしれません。

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全仏・老害の構造

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