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駐車場3台分の土地で1億円以上の大ヒット。お寺の樹木葬を改めて紹介

お寺の樹木葬

株式会社アンカレッジの樹木葬が快進撃を続けています。私があちこちで話しているせいか、お坊さん達から「あのお寺の樹木葬って、どんなものなの?」と聞かれるようにもなりました。

まあ、お墓の新規区画を作ろうなんてピンポイントなお寺は多くないので、聞かれると言っても時々ですが。

でも、私がたまたま遊びに行ったお寺で樹木葬の話が盛り上がり、そこから導入に向かったお寺もあるくらい、引きは良いようです。

そこで今回は改めて、アンカレッジのお寺の樹木葬についてまとめてみます。

お寺の樹木葬は何がすごいのか?

私がお寺の樹木葬で一番すごいと思っているのは、ビジネスに布教を組み込んでいることです。簡単に言うとこのお墓は、公共の霊園などでは作れません。

この「ビジネスに布教を組み込む」って、結構重要なキーポイントだと思っているんですよ。お寺側から見たら、「布教にビジネスを組み込む」です。

お寺の活性化ってどうしても大きなイベントを開いたり、ヨガやカフェなどで人を呼び込むことに終始しちゃいがちですが(それ自体はとても大切ですが)、ここまで世間のお寺に対する親しみ度が上がってきたなら、そろそろ次のステージに進むべきです。

そこで私が提唱しているのは宿坊と仏前結婚式ですが、このアンカレッジのお寺の樹木葬もそれに当てはまるので応援しています。

アンカレッジは「お寺のある暮らしを育む」を社是としています。こういうとまるで外面で掲げた綺麗ごとのようですが、実態は「お寺のある暮らしを育まないと売れないお墓を作っている」です。それはお寺以外の霊園などから樹木葬墓地の導入を相談されても、断っているほどの徹底ぶりです。

下のグラフはこの樹木葬墓地を導入しているお寺の実績ですが、お墓を購入した方の7割がお寺の宗派(ここでは浄土宗)で法要・葬儀を行っています。

高輪庭苑の法要と葬儀割合

もともと宗旨不問でお墓を販売しているはずが、なぜここまで関係を結べるのか。それはお墓に対して想い入れが強く、お寺と価値観を共有できる人だけに向けて商品デザインをしているからです。逆の言い方をすれば、「お参りしやすいお墓」であることを最大のセールスポイントとして、それを全力で伝えなくてはお墓が売れない。そんなビジネスモデルをアンカレッジは作っています。

布教がビジネスにつながり、ビジネスが布教につながる。両輪が回ることでパワフルに動けますし、持続も可能となっていきます。

お寺の樹木葬が外見を重視する意味

樹木葬は見栄えだけを良くした外見重視のお墓と思われるかもしれません。しかしアンカレッジは、外見を重視する目的をはっきりさせています。それは男性からは好かれなくても、女性目線を徹底意識しているということです。

女性目線

なぜ、女性を意識するのか。それは女性が動かなければ、人とお寺をつなぐことができないからです。

そもそも一般の人間にとって、お墓は怖いものです。お墓があるので境内に入れなかったという方もいますし、そこまで極端でなくても夜はお寺の前にある道は避けて歩く人もいます。

このある意味当たり前ながら、お寺の人間がみんな麻痺してしまっている感覚に焦点を当てたのが、「怖くない、お参りしやすいお墓」というコンセプトでした。そして現在、お墓の購入に大きな発言権を持っているのは女性です。なので相手にプレッシャーをかけない、優しいデザインのお墓は必須となってきます。

樹木葬墓地を設計した石原和幸デザイン研究所について

そこでアンカレッジでは、世界トップレベルの庭園デザイナーと手を結んでいます。それが世界最高峰の国際ガーデニングショー『英国チェルシーフラワーショー』で現在5年連続金メダルを獲得している石原和幸氏です。

ガーデニングの本場イギリスで、エリザベス女王からは「あなたはまるで緑の魔法使いね」と称賛された方で、庭園の世界では国内外に熱狂的なファンを持つ巨匠です。お寺の樹木葬はこの石原氏が率いる石原和幸デザイン研究所に、庭苑造りを依頼しています。

石原先生はこちらの記事で詳しく紹介しているので、よろしければご参照ください。

ちなみに樹木葬墓地を担当されているのは、チーフガーデンプランナー・鈴木圭介さんです。この方はめちゃくちゃ植物大好きな方で、私もお会いするたびにいろいろ教わっています。

石原和幸デザイン研究所の鈴木さん

駐車場3台分の土地で1億円以上の売上発生!

お寺の樹木葬について、もう一つすごいのは収益力です。駐車場3台分の土地(42㎡)で造成費用は1000万円未満。そこから1億円以上の売上が発生(東京の場合)しています。

都心の樹木葬リターンイメージ

これは境内にちょっとした空きスペースがあれば開始できるスケールです。実際に東京都大田区の安詳寺(日蓮宗)では、墓地の端にあった未使用区画にこの樹木葬墓地を導入されました。

少し見えづらいかもしれませんが、下の写真で雰囲気分かりますでしょうか。安詳寺はかなり広い墓地を持ったお寺なのでイメージ湧きづらいかもしれませんが、現在導入準備を進めているお寺は、庫裏の横にある本当に小さなスペースを活用しようとされているところもあります。

安詳寺の樹木葬墓地

なお、上の写真は、樹木葬墓地第2区画の開眼法要の様子です。

実は安詳寺。2015年5月1日に第1区画がスタートし、あっという間に埋まってしまったので2016年3月8日にこの第2区画をオープンさせました。

予想以上の勢いにアンカレッジの伊藤社長も驚き、第2区画の端っこにはネクストステージへの道まで作られちゃっています。はみ出ているところが、いずれ作られる第3区画と結ばれる予定。

安詳寺第3区画への道

そして下はアンカレッジの資料より。こちらは道往寺に作られた高輪庭苑の販売実績グラフですが、これを見ても樹木葬墓がコンスタントに購入されていることが分かります。

樹木葬墓の販売実績グラフ

私もアンカレッジと関わってからお墓事情についてはかなり勉強しましたが、永代供養墓は流行に流されて作っても、大赤字になってしまったところが多いです。統計を見ると全体の20%未満しか売れなかった墓地が、永代供養墓を導入した霊園全体の約半数に及んでいます。

また、もう一つ大きな潮流となっている機械式納骨堂。ビルの中にお骨を納め、人が来ると自動的に運ばれて表に出てくるお墓です。これも低価格を武器に人気となっていますが、技術革新が激しく機械がすぐに型落ちとなり、導入後に売れ残ったところも目立ちます。

墓地需要自体は右肩上がりなのに惨憺たるこの状況。二極化がはっきり進んでいるということです。

なぜ、アンカレッジの樹木葬墓はここまで売れるのか?

アンカレッジの樹木葬墓はなぜ売れるのか。この理由は3つあります。

布教の入り口としていること

アンカレッジはお墓を布教の入り口にしています。この「布教の入り口」とは寺院の価値観を一方的に押し付けるのではなく、消費者目線と寺院の立場を丁寧に結びつけているということです。

宗旨宗派は問わない、入檀は義務付けないなどは、お墓購入を検討する人間にとってとても安心できる要素です。お寺としてここは譲らないのなら、多くの方からもNOを突き付けられます。

しかし、何をしても良いというわけではなく、お寺としての方針を持つことも必要です。例えばお祭り好きな方がお墓にお神輿の絵を彫りたいと申し出たことがあったそうです。この時、お神輿は神社由来のものなので、お寺の判断でNGとなりました。

ただしこうした時に一方的にダメだと告げるのではなく、「なぜだめなのか」「お寺がどのような場を作ろうとしているのか」を説明することが大切です。

こうした丁寧なコミュニケーションは人を惹きつけます。今までお寺のお墓に興味はあったけど、情報が漠然としすぎて躊躇していた方は、お坊さんが考えている以上にたくさんいます。そうした方と関係を結んでいくことが布教の入り口ですし、安心して入ることができるお寺だと伝われば、外の人も積極的に足を運ぶようになります。

(その代わり、コミュニケーションを軽んじるお寺には、このお墓は向きません)

お墓に対するミスマッチを解消

お墓にはニーズのミスマッチと、情報のミスマッチがあります。ニーズのミスマッチにはお寺と人をつなげる樹木葬という形で応えていますが、ほしい人に伝わらない情報のミスマッチ解消にもアンカレッジは努めています。

ここは徹底的なマーケティング戦略が必要な部分です。広告の出しどころ、電話やWEBによる窓口、イベントやメディアを使った情報拡散と、「質」と「量」からアンカレッジは独自ノウハウを磨いてきました。これだけでもアンカレッジの樹木葬墓を導入する価値があるほどです。

お墓は安価なものではありません。車のディーラーや保険会社の営業と同じか、それ以上に繊細で高度な(そして良い意味でお寺らしい)応対も必要です。情報の出し方や伝え方も、アンカレッジは細かく研究しています。

女性目線

アンカレッジの樹木葬墓地が売れる理由の3つ目は女性目線です。これはすでに述べましたが、なぜ女性目線だと売れるのか。ここには2つの理由があります。

一つはお墓購入の決定権は、女性が持っている場合が多いこと。そしてもう一つはお寺があまりに男社会過ぎたため、女性が安心できるお墓が世の中にほとんど出回っていないことです。

需要が多いのに供給が少ない。当たり前と言えば当たり前すぎますが、当然売れます。そして数が売れることももちろんですが、見学者の5割が購入するなど効率が良いのも特徴です。また売れるからノウハウが溜まり、ますます求められる。アンカレッジの快進撃は、ここに理由があるのです。

お寺の樹木葬の広まり

お寺の樹木葬は現在、東京都港区・道往寺(浄土宗)、大田区・安詳寺(日蓮宗)、そして大島町(伊豆大島)の金光寺(曹洞宗)の3ヶ寺でオープンしています。

第一号の道往寺に作られたのが2013年3月。そして第二期は2013年10月、第三期は2014年9月、第四期は2015年5月、さらに第五期は2016年年末(?)と順次拡張中です。

安詳寺は2015年5月にスタート。2016年3月に第二期が始まり、第三期も2016年中オープンを予定しています。なお、金光寺は2016年4月から始まりました。

さらに現在、これら3ヶ寺の他に、内々で準備を進めているお寺も多数あります。名前はちょっと明かせないため、大ざっぱですが日本地図にプロットしてみました。

お寺の樹木葬地図

東京の会社でもありますし、東京・神奈川・千葉・埼玉が多いですが、静岡県や京都府、沖縄県などでも話は進んでいます。アンカレッジとしては少しずつ全国的に広げていきたいようです。

また、お寺の樹木葬はもともと『都心の樹木葬』という名前で開発されていました。しかし伊豆大島の金光寺のような離島でも展開が起き、『お寺の樹木葬』に名前が改められています。

都心ではアンカレッジスタッフがお寺に常駐し、地方ではノウハウを伝えながらお寺に販売活動をして頂くという形式の違いはありますが、様々な地域への展開力も磨かれています。

お寺と人を結ぶ会社に

アンカレッジは樹木葬墓地の開発以外にも、お寺と人を結ぶ様々な取り組みをしています(もちろん間接的には、樹木葬を支えることにつながりますが)。

例えば、お寺の応援団の結成。2015年12月に行われたエンディング産業展では、上述の石原和幸デザイン研究所の他、宿坊研究会とお坊さんによる人生相談サイトhasunohaが加わっています。

エンディング産業展なのに宿坊創生プロジェクトとか、私も会場に来られたお坊さん達に説明しまくっちゃいましたし。

2016年は、さらにお寺の応援団チームを募集して、ドリームチームを結成していきますよ。

宿坊研究会展示パネル

また、4月からは江東区のコミュニティFM『Crystal ISM』という番組で、お寺の情報を紹介するコーナーも作っています。こちらではお寺の季節行事や面白い取り組みなどを紹介。第1回目は花まつり、2回目は寺社フェス向源について伊藤社長がお話していました。これからも続々と面白いお寺情報を紹介予定です。

そしてこのお寺と人を結ぶ場面で、私も様々な取り組みに関わっています。代表的なものは寺社好き男女の縁結び企画『寺社コン』です。上記で紹介したお寺の応援団チーム結成も声掛け役を担っていますし、ラジオのネタ出しも行っています。

アンカレッジがお墓の専門家ではない私を顧問に迎えたのは、お寺にこれまでなかった形で賑わいを生み出すためです。婚活イベントに参加した人が直接お墓を購入することはないでしょうが、人が出入りするお寺はそれだけで活気が増します。

このお寺はいろんな人のために汗を流している。それが目に見えて外に伝わった時、お墓購入を検討される方にとっても大きな後押しになります。

死をタブー化しないこと

これはアンカレッジではなく私の想いですが、これからの日本にとって死をタブー化しすぎないことは、ものすごく重要と考えています。そして今の日本で真正面から死を語っても、最も批判を受けにくいのはお坊さんです。

例えば私はあるカメラマンに、昆虫の死骸を写真のテーマに選んだらどうかと提案したことがあります。動物であれば生々しすぎても、昆虫であれば多少は冷静に受け止められるでしょう。ですが本当に写真展を開いたとして、もしそこにお坊さんが一人加わったら。それだけで世間からの目(好意的なものも批判的なものも)は相当変わります。

私が言うまでもなく仏教にとって死は根幹をなすテーマですし、お坊さんは死のスペシャリストです。アーティストだって死は重要テーマですが、世間の納得度ではお坊さんには適いません。

しかし日本中のお寺に足を運びまくる私の実感としては、お坊さんが死を語るタイミングは遅すぎます。要するに、お葬式でしか死を語らないのです。そんな切羽つまった状況で語っても、それが人の心に響くのなんて当たり前です。しかし私自身、最後にお葬式に出たのは8年も前ですし、月参りなどの習慣がない人にとって死にふれる機会は相当限られます。

なので、もっと日常から死について意識する。開けっ広げに語り合う空気を作る。死にふれる敷居を下げる。そこをお寺が担うことは、私はこれからの日本を左右すると感じています。

死を身近に感じれば、生き方が変わってきます。なのでこの「お参りしやすい、お寺と人をつなぐお墓」は、私はこうした社会空気を壊す意味でも期待しています。

ということで

今回はアンカレッジのお寺の樹木葬について、まとめてみました。

株式会社アンカレッジは、伊藤照男社長と道往寺の柏昌宏住職が一緒に作った会社です。お寺の住職が作っただけに、お寺を第一に考えた霊園会社となっています。

ちなみに、伊藤社長と柏住職&ほーりーの写真(エンディング産業展にて)。

アンカレッジとほーりー

道往寺は檀家数の多い、いわゆる大寺院ではありませんでしたが、この樹木葬を導入したことによりたくさんの人が集い、仏教にふれ、経済的にも安定したお寺に変貌しました。このストーリーに注目が集まり、アンカレッジへの期待は様々なお寺で高まっています。またお寺社会のみならず、テレビや雑誌などでも紹介されています。

お時間あれば、動画もどうぞ。

そしてこのお寺の樹木葬を紹介するセミナーも、現在毎月行われています。

最近のお墓事情や成功・失敗事例、樹木葬墓地の詳細など、私も参加しましたがお墓に対する見方が変わりました。もちろん樹木葬型墓地を導入いただくことを目的としたセミナーですが、聞いたからと言って無理やり導入を迫られることもありません。

ということで、もしご興味ある方がいればご参加いかがでしょうか? お墓のマーケティング情報が数字付きで詳しく話されますし、聞いてみるだけでも参考になると思いますよ。

以下はセミナー情報です。参加のご希望やお問い合わせなどがある方は、一番下にあるフォームからご連絡ください。

ご住職のための永代供養墓セミナー

永代供養墓でお寺の未来を考える住職のための勉強会です。現在進行形で樹木葬墓に取り組み成果を上げているお寺で学ぶため、実践的な情報が満載です。

○セミナー内容

1.機械式納骨堂? 樹木葬墓? 散骨? 送骨納骨? データで見る最新のお墓事情
2.檀家離れの時代に寺院墓地は売れないのか? データで見る最新の消費者事情
3.いま売れている永代供養墓! 樹木葬墓の見学
4.永代供養墓でお寺はどう変わる? 先行したお寺の住職との懇談

ご参加いただいたお寺様には「とても面白い!」と好評。参加寺院6割から「うちのお寺にも提案がほしい」と無料提案のご依頼が寄せられる好評のセミナーです。

(無料提案は申込順になっておりますのでご了承ください)

日程   : 下記申込みフォームの参加希望日の欄を参照
会場   : 道往寺(都営浅草線・京急本線泉岳寺駅A3出口から徒歩1分)
参加費  : 無料
参加資格 : ご住職、副住職ほか寺院関係者

【会場地図】

会場の道往寺はこちらをご参照ください。なお、駐車場も28台分ありますので、お車でお越し頂くことも可能です。

他会場の地図・アクセス情報はこちら

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