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お賽銭キャッシュレス化への賛否を5つのアンケートからまとめました

お賽銭のキャッシュレス

 ゆうちょ銀行が硬貨の取り扱いに手数料を設けたことで、お寺や神社に衝撃が走りました。そしてほーりーが主催する勉強会でも困ったと述べられていたお坊さんがいたため、参考になりそうな事例として紹介したのがリンク先の長福寿寺さんです。

 ゆうちょ銀行の硬貨手数料有料化には、長福寿寺モデルが役に立つ

 ただそれとは別に、お賽銭にもキャッシュレスが必要かという議論が改めて出ています。まあ、小銭を扱わずに済むわけですし、これがやはりど本命でしょう。

 しかしお賽銭のキャッシュレス化は、それほど簡単な話ではありません。よく言われる問題点は以下の5つです。

 (1)決済会社の規約による制約
 (2)決済システムを通すことで、商業行為と見なされ課税対象となる可能性がある
 (3)決済会社に手数料を引かれる
 (4)誰がどこにお参りしたかがデータとして残ることで、信教の自由が侵害される恐れがある
 (5)ものが介在しなくなることで、お参りした感じが得られにくい

 (1)はそもそも決済システムは商品やサービスの販売を目的としているため、お賽銭には利用できないことがあります。(2)~(3)は寺社にとって収入減となる話です。ただし(3)は少額硬貨がキャッシュレス決済以上に手数料がかかることになったので、必然的に問題比重が変わってきます。

 (4)は人によって、一番意見が異なるところかもしれません。データを保管する時点でNG、データの利用方法によってはNG、問題とはならないのではないかなど、いろいろ聞きました。

 そして最後の(5)は、寺社側ではなくお参りする側の心情です。ほーりー的にはここがお賽銭のキャッシュレス化を考える上では、一番重要と考えています。だってお参りする側の心が入らなかったら、現金もキャッシュレスもありませんからね。

 なので今回の記事では世間がどの程度、お賽銭へのキャッシュレス導入を許容しそうか、様々なアンケートを集めて探ってみました。

お賽銭のキャッシュレスに関するアンケートをまとめました

67.6%が否定派だったナビナビクレジットの調査

 まずはほーりーが探した中で、一番お賽銭のキャッシュレス化に否定的な回答が多かった、ナビナビクレジットの『キャッシュレスと日本の贈り物文化に関する意識調査』です。このアンケートでは67.6%が反対しており、類似の調査と比べて極端に否定派が多くいました。

お賽銭アンケート1

 『ナビナビクレジット』はクレジットカードやキャッシュレスの情報メディアで、このアンケートでは20歳以上の男女700名が回答者になっています。またそのうち約9割がキャッシュレス決済(クレジットカード・デビットカードが大多数)を利用しており、現金以外の利用にもそれなりに慣れ親しんでいる人たちと言えます。

 質問文章もそれほど特別な誘導は感じられず、他のアンケートとここまで数字が変わった要因は見つかりません。唯一言えるのは「キャッシュレスと日本の贈り物文化」について調査しているため、他の項目もご祝儀や香典、お年玉などが並んでいることです。

 キャッシュレスは浸透してきたけど、精神的な要素を伴う金銭のやり取りには馴染まないかもという文脈の上で作られているため、それが数字に大きく影響した可能性はあります。

半数近くが興味なしだが、否定派を賛成派が上回るJTB総合研究所の調査

 続いて株式会社JTB総合研究所による「社寺に対する消費者意向調査」より。参拝時のキャッシュレス対応への意向として、「お賽銭をキャッシュレスで納められること」という項目があります。

お賽銭アンケート2

 こちらは興味なしの回答が多いですが、「悪い」「非常に悪い」は合わせて23.4%、「よい」「非常によい」は合わせて30%と、若干ですが肯定派の方が多いことが読み取れます。

肯定派が約4割の全日本仏教会&大和証券調査

 日本の伝統仏教各宗派による連合組織である全日本仏教会と大和証券による『仏教に関する実態把握調査(pdf資料)』でも、「キャッシュレス決済の利⽤状況/意向」に「さい銭」という項目がありました。こちらは約4割の方が利用意向ありと答えています。

 なお、否定派の割合は出ていませんでしたが、全日本仏教会の調査で肯定派がこれだけいるのは注目してよいと思います。

お賽銭アンケート3

肯定派が半数を超えたゼネラルリサーチの調査

 マーケティング会社のゼネラルリサーチ社による「来年(2021年)の初詣・参拝とオンライン化」では、ちょうどコロナが始まったばかりの時期にコロナ対策を前提とした初詣のあり方についての質問がありました。

 その中に「境内でソーシャルディスタンスを確保しながら、各所にキャッシュレス賽銭があったら施策としてどうですか?」という項目があります。

お賽銭アンケート4

 「ソーシャルディスタンスを確保しながら」という前置きがあるため、単純にお賽銭キャッシュレス化の是非を問う形ではありませんが、こちらは明確に賛成派が半数以上となっています。

クレジットカードの読みもの

 クレカ紹介サイトで超有名な、クレジットカードの読みものさんが行ったアンケートです。こちらもでキャッシュレスお賽銭は肯定派が半数以上でした。

 こちらはツイッターで行い、フォロワーも基本的にクレカやQR決済などに興味の強い方が集まっていることから、肯定寄りに数字が出た可能性はあります。

 ただ最初に紹介したナビナビクレジットさんと似た属性と思われるので、そちらと比べてこれだけ結果が変わっているのは興味深いですね。

ということで、、、

 今回はお賽銭のキャッシュレス化について、賛否を問う調査アンケートを集めてみました。5つの調査のうち3つが賛成派優位、1つが否定派優位です。残りの全日本仏教会と大和証券の調査も賛成派が多いため、世間のお賽銭キャッシュレスは賛成派がかなり広がってきたことが読み取れそうです。

 ただ、データからは読み取れませんが否定される方の中には、お寺や神社に深く関わっていてこだわりが強い方も多い気はするので、単純な割合だけでなくそこに込められた想いもくみ取っていくことは大切でしょう。

 先日、東京ドームで現金を使用できなくなった(1500円チャージ済みのSuicaが2000円、チャージしていないnanacoが300円で販売されますが、こちらが唯一現金を使える場)ことに賛否が巻き起こりました。お寺や神社以外でも様々な場所で、こうした現金とキャッシュレスの綱引きは行われていくのかもしれません。

 今回の硬貨取り扱い手数料有料化によって寺社側にも変革の必要性がさらにできたことですし、世間的にもこれからさらにキャッシュレスが世の中に浸透すると予想されます。以下は以前に書いた、キャッシュレスが普及している理由&お坊さんたちと一緒に開いた勉強会の報告です。

 ビットコインが崩壊したので、小さな寺社のお賽銭は増える

 お寺のキャッシュレスセミナーを開催しました

 なのでお賽銭を取り巻く状況も、少しずつまた変わっていくだろうとほーりーは予想しています。

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