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バブル後と異なり、コロナ不況の自死自殺は女性も増えていく

 8月の自死自殺者が去年より15.3%も増加したと警察庁が発表しました。こちらを報じたNHKの記事によると、以下のようになっています。

警察庁によりますと、8月全国で自殺した人は速報値で1849人で、去年の同じ時期に比べて246人、率にして15.3%増加しました。このうち、男性は60人増えて1199人、女性は186人増えて650人となっています。

 これを見て、ほーりーは自分の認識を改めないといけないかもと思い始めています。それは不況による自死自殺は男性中心と考えていたのですが、今回は明らかに女性も増えているためです。

 もちろんこの増加が継続するのか、そして死を選ばれた理由が何かは、もう少し時間が経ってみないと分かりません。

 ですが以前にバブル崩壊後の流れを調べた時、自殺の増加は男性だけに顕著な傾向でした。以下は警察庁の発表を元に、ほーりーがグラフ化した自殺者数の推移図です。1998年に青色(男性)だけがぐぐっと伸びあがっているのが読み取れます。

自殺者数の推移

 この状況は以下の記事で詳しく紹介しているので、よろしければご覧ください。

これから自死自殺者が3万人に戻るので、お坊さんにお願いしたいこと

 時間がない方のために簡単にまとめると、次のような流れが7年かけて進行しています。

(1)バブル崩壊して金融市場が大打撃
(2)余波を受けた企業が相次いで倒産
(3)行き詰まった個人が死を選ぶ

バブル崩壊後と現代の女性を取り巻く環境の違い

 先に上げた自殺者数の報道でも、絶対数では男性の方が2倍近く亡くなっています。このため男性側の危険が減ったわけではありません。

 ですがほーりーはこれまでバブル後に起きた事象を元に、お坊さん達にはこれから数年は男性の悩み相談に重点を置いた方がよいとお話ししていました。

 しかしよくよく考えると、バブル崩壊後と今では女性を取り巻く環境が変わっています。その内容を細かく分けると以下の3つです。

○就業者数の増加
○未婚率の増加
○貧困率の増加

 これによってこれから数年は女性の自死自殺も増えるかもしれないと、考えるようになりました。

就業者数の増加

 以下は総務省統計局のデータをもとに作成した、男女別就業者数の推移です。

男女別就業者数の推移

 自死自殺が増えた1998年以降(グラフの右半分)を中心に見ると、男性は横ばいかむしろ微減していますが、女性は働く人が増えています。

 日本は女性の就業を支援したり、女性活躍推進法を制定するなどしており、この数字自体は問題があるものではありません(非正規雇用が増えているなど、中身まではここで取り上げませんが)。

 ですが働く人が増えれば増えるほど、不況時にはリストラや仕事の行き詰まりに直面しやすくなります。経済の冷え込みと自殺に正の相間が生まれる要因とは考えられるでしょう。

未婚率の増加

 以下は以前に婚活セミナー用に作った男女別未婚率の推移です。こちらで分かることは、近年になって結婚しない人がぐぐっと増えていることです。

男女別生涯未婚率

 単身(単独の収入)で生きることは、少なくとも経済的には大きなリスクとなります。共働きであれば片方が失業しても、配偶者の稼ぎでしばらく生き続けることは可能ですが、独身であれば収入が一気にゼロになります。

 これに就業者増加のデータも含めて考えれば「独身で働く女性」が増えたことで、失業して追い詰められる問題が男性特有のものではなくなってきたことが伺えます。

貧困率の増加

 以下は男女共同参画局にあった、男女別・年齢階層別相対的貧困率(平成19年)のデータです。

男女別年齢階層別相対的貧困率

 このグラフでは、女性の貧困率は20代前半を除いてどの年代でも男性より高くなっていることが読み取れます。特に年齢が上がるほど貧困率も上がり、男性との乖離も大きくなっています。そして高齢化社会においては、この層がこれからますます増えていきます。

 不況の影響を大きく受けるのは、通常時から生活に困っている社会的弱者です。その意味でも経済的にこれから立ち行かなくなるのは、女性が多いと言えるでしょう。

ということで、、、

 コロナ不況で自死自殺者が増えたり、貧困が健康や寿命に与える影響については大きな危機感を持っており、ここ数カ月は自死自殺対策や人生相談など、様々なお坊さん団体に取材させて頂きました。

 これまでこのブログでも何度か記事を書きましたし、連載している月刊住職や中外日報などでもその内容を紹介しています。

 そんな中で取材中に伺ったことの一つは、死を選ぶのは複数の要因が積み重なって起こるという話です。

 例えば失業一つにしても、職を失った直後はまだ預貯金が残っていたり、失業手当がもらえる人もいます。しかしそうした支えが失われていき精神的に追い詰められ、周りとの人間関係が悪化して家に引きこもったり、さらにはそこからうつ病やアルコール中毒を誘発したりと、問題は連鎖していきます。

 また4月の時点では、むしろ自死自殺者が減少したというニュースも報じられました。

自粛で自死自殺が約20%減ったのは、社会全体が不幸になったから

 これはもともと死を選ぶか踏みとどまるかの瀬戸際にいた人が、社会全体が不幸になり、相対的に自分だけが不幸と感じにくくなったためという部分もあると指摘させて頂きました。なので8月の死者数増加は、その揺り戻しも幾らかあるのかもしれません。

 このためほーりーは現時点の自死自殺者増加は、コロナ不況による影響は限定的ではないかと思っています。

 ただし倒産や失業者の増加はニュースで報じられていますし、これからが本当に深刻なことになると危惧してもいます。なので引き続き、細心の注意が必要です。

 そして今回のブログに書いた通り、これからの経済不況は男性のみならず女性の自死自殺が増える引き金になるかもしれないと、考えを改めることにしました。

 これらはまだデータから得た予測なので、できればまたいろんな有識者のお話を聞きつつ、注意を払っていきたいと考えています。

 なお、実際に悩まれている方がいたら、以下で紹介している『認定NPO法人 京都自死・自殺相談センター Sotto』さん、『自死・自殺に向き合う僧侶の会』さんは相談に乗ってくださいますよ。

自死自殺の相談2団体に取材して伺った、僧侶組織だからできること

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男女別年齢階層別相対的貧困率

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