観光庁の事業で宿坊に最大800万円の補助金が支給されます
2019年に閣議決定した『令和元年度版観光白書』に「寺泊」が盛り込まれて後、日本は宿坊を観光の柱の一つとして育てていく事業に乗り出しました。以下はその流れを紹介したブログ記事です。
寺社Nowに見る「寺泊」が閣議決定して観光白書に盛り込まれた流れ
そして今月も新たに、「寺泊のインバウンド化・体験コンテンツ造成事業」に対して、800万円を上限とする補助事業が開始したので紹介します。
観光庁の事業で宿坊に最大800万円の補助金が支給されます
こちらは観光庁のサイトをご覧いただくのが早いと思いますが、大まかな内容を紹介します。
今回は既に日本人向けに運営されている宿坊が対象です。応募受付は令和3年5月24日(月)~7月5日(月)17:00必着で、申請書類は観光庁のサイトからダウンロードできます。
そして以下の事業に対し、経費の1/2かつ800万円を上限に、補助金が支給されます。
○インバウンド・知的好奇心の高い層向け滞在環境整備
○体験コンテンツの造成、多言語化、モニターツアー実施
これらを見ると単純に宿泊させるだけでなく、寺社や和文化の体験重視で支援を予定しているようですね。ほーりー的にはハード・ソフトの両面に記載があることに注目しています。
ハード面は「インバウンド化に伴うリフォーム」が記載されていました。これがどこまで適用されるかは応募してみないと分からないでしょうが、古くから続く宿坊は客室が古くてボロボロになっていることもあるので、和モダン的な部屋に改装していくこともありかもしれません。
最近は和室に合う、背の低いベッドもだいぶ見かけるようになってきましたし。先日行った宿坊オンライン内覧会でも、それぞれの宿坊住職が寝具のこだわりはお客さんの満足度を高める重要な要素であることを強調されていました。
宿坊オンライン内覧会を開催! 宿坊開設の現場を学ぶ会になりました
またソフト面では宿坊の様々な説明を多言語化すれば、それはずっと使える効率の良い投資になると思います。
坐禅や写経などの体験説明は一度翻訳すれば大切な資産になるでしょうし(汎用的なものなら、探せば無料で使えるものもあるでしょうが)、寺社の歴史や文化財の解説、宿泊プランの説明なども複数言語でそろえておくと便利です。
いつだったかほーりーが宿坊研究会を英語化した時、翻訳会社に依頼したら約6万文字で50万円くらいかかりました(全部、自腹)。まあ、こんなにたくさんの文章を用意している方は少ないでしょうし、英語、中国語、韓国語と用意してもそこまでかからないでしょう。
そして今回の補助事業はモニターツアーも対象となっていますが、実際に行ってみて海外の方がつまづきやすいポイントを洗い出しておくのも、今後に向けて大切な準備になりそうですね。
ということで、、、
現在のコロナ禍では、訪日旅行の回復はまだ先になることが予想されます。しかしそんな時期だからこそ、海外からの旅行者受け入れに乗り遅れていた方も、じっくりと取り組む時間が持てたと言えます。
ワクチン接種も進み始めていますし、いずれはまた旅行者が行き交う時期も来るでしょう。日本はこれから人口減少時代に突入していきますし、どちらにせよインバウンド対応が戻らなければどんどん縮小していきます。
それならせっかくこうした事業が行われているうちに、未来を見据えて動いておくのもお勧めですよ!