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界王拳の反動で、日本に大量解雇・倒産時代がやってくる

 先日、コロナ禍による経済の落ち込みや人間関係の悪化によって、20代の自死自殺者が大幅に増えたことをお伝えしました。そしてコロナだけでも大きな経済ダメージは、戦争と円安も加わってさらなる悪化が予想されます。これらの状況をデータを交えてお伝えしたのが以下の記事です。

 20代は他の年代より、コロナ(自粛・不況)で追いつめられている

 コロナ・戦争・円安は、困窮者を追いつめる要因になっていく

 このブログではコロナが広がって以降、病気より経済の落ち込みで亡くなる方が増える危険を述べてきました。最近になって自粛の弊害を語っても叱られなくなってきたので、ようやく同じ考えを持つ方が増えてきたと感じています。

 ただそれまでに社会が受けたダメージは甚大です。次のグラフは厚生労働省が発表している、生活困窮者の新規相談受付件数です。

生活困窮者の新規相談受付件数

 ぬお~。2020年度(コロナが広まった年)は、例年の3倍以上に激増したのが分かりますね。2021年度はここまでではないと思いますが、データがまだ発表されていないので分かりません。

 ちなみにこの数値は『生活困窮者自立支援制度』を元に、地域ごとの相談窓口に寄せられた件数が集計されたものです。働きたくても働けないとか、住む所がない方が押し寄せているのが読み取れるでしょう。

 コロナは業界によって影響が大きく異なります。観光や飲食、イベント業などは壊滅的な状況でしたし、逆に巣ごもり需要で大きく伸びた企業もありました。なので人によって危機感や景気悪化の体感値は全く異なります。

 そこであまり影響がなかった方にも分かりやすいのが、下の写真です。こちらのポップは出雲のお土産屋さんにあったものですが、これを見たときは本当に背筋がゾクッとしました。あまりにつらそうな状況だったので、ほーりーも賞味期限間際のお菓子を大量に買ってしまいましたし。

出雲のお土産屋さんポップ

 お客さんが来なくなって商売が成り立たなくなったり、需要が消えて売れなくなった商品はたくさんあります。他にも解雇や雇い止め、長期にわたる休業などで収入を失った方もいたでしょう。日本中の幅広い業界で似たようなことが起きた結果が、上で紹介したグラフにつながっているわけです。

2021年は様々な経済対策で、倒産件数が大きく減った

 しかしコロナで受けた経済の落ち込みは、前例がないほどの経済対策で緩和されました。もしも様々な支援が行われていなかったなら、上のグラフはもっと大きく跳ね上がった可能性もあります。

 実際に2021年の倒産件数は、例年にない少なさです。NHKのニュース記事では、以下のように伝えられていました。

 去年1年間に倒産した企業の数は6000件余りで、55年ぶりの低い水準となったことが分かりました。調査会社は新型コロナウイルスの影響を受けた企業に対する資金繰り支援策の効果などが背景にあるとしています。

 そして実際、コロナの影響による解雇者数も2020年ほどの増加は見られません。以下のグラフは厚生労働省が出しているコロナに起因する解雇者数の累積値をまとめたものです。

コロナに起因する解雇等見込み労働者数

 正確には「解雇等見込み労働者数」ですが、これは都道府県労働局及びハローワークに対して相談のあった事業所等において解雇・雇止め等の予定がある労働者で、一部既に解雇・雇止めされたものも含まれているとのこと。まあ、解雇されたり、もうすぐ解雇されそうな方と思っておけば、ニアリーイコールでしょう。

 グラフの角度が右側に行くに従って緩やかになっているので、増加ペースがゆっくりになってきたことが分かりますね。なのでこのまま落ち着いてくれるなら、ありがたい限りです。

これから企業倒産は増えていく?

 ただ、このまま経済がすんなり復活とは思えないのが、正直なところです。今はドラゴンボールで言えば、界王拳数十倍とか無理している状態です。HUNTER×HUNTERだと、ゴンさんになったところかな。なのでその反動は、近いうちに起きることが予想されます。

 株式会社帝国データバンクのレポートが分かりやすかったのですが、現在の状況を以下のように評価しています。

○倒産件数は歴史的低水準、55年ぶり5000件台の可能性も
○各種政策が資金繰りに寄与、必要な「キャッシュ」が各企業に行きわたっている
○しかし、倒産リスクはリーマン・ショック並の水準で推移。経営破たんが懸念される企業、全国で30万社に上る可能性もある

 コロナ倒産を抑えようと、これまで政府系金融機関(日本政策金融公庫や商工組合中央金庫など)や民間金融機関で、実質無利子・無担保のゼロゼロ融資などが行われました。

 次のグラフは日本政策金融公庫の中小企業事業での融資実績を表したものですが、2020年度は棒グラフがゴンさんの髪型みたいに伸びているのが分かります。

日本政策金融公庫の融資実績(中小企業事業)
 
 企業にとってお金を借りることは、悪いことばかりではありません。新規事業の開始時や既存事業を拡大させるためのブースターとして、攻めの借金を行うこともあります。ただ2020年度の83.0%は、新型コロナウイルス感染症対策であり、失った収入の補填であることがほとんどでしょう。

 なお、次のグラフは日本銀行が発表している銀行などの総貸出平均残高の推移です。こちらはちょっとわかりづらいですが、大企業と中小企業の動向差が読み取れます。

銀行などの月別総貸出平均残高の推移

 大きな企業への貸し出しが多い都銀等(青線)はコロナ禍後に跳ね上がったものの、その後は緩やかに減少しています。一方で中小企業への貸し出しが多い地銀(オレンジ線)は上昇が続いています。これは緊急で受けた融資を返し始めた大企業と、それができずにいる中小企業の差とも考えられます。

 中小企業は日本の全企業数のうち99.7%を占めています。そこで働く人も全従業者数の約7割で、ここに大きなピンチが迫っているのは怖い話です。

ということで、、、

 日経新聞のニュースでは、以下のように報じられています。

 巨額資金の投入は企業倒産を歴史的な低水準に抑え込んだものの、コロナ禍3年目では返済も本格化する。収束が見えないなかで返済負担が増せば息切れする企業が増え、多額の貸し倒れにつながる懸念も強まる。

(中略)

 ゼロゼロ融資の貸出先で倒産が相次げば、債務の80~100%を実質的に保証している国の財政に大きな痛手となる。民間金融機関も、ゼロゼロ融資自体は貸し倒れに伴う損失リスクを負っていないものの、コロナ禍前に自前で融資しているケースも多く、無傷では済まなくなる。

 これから大量解雇・倒産や巨大化した財政出動を補う増税が始まれば、行き詰まる人はますます増えていくでしょう。

 お寺や神社にとっても他人ごとではありませんし、無理にということでもありません。ただこれから大変な社会に突入していくからこそ、少しでも苦しむ人の救いになる体制を取って頂けたらありがたいと考えています。

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